かつて借金完済を宣言したことも
孫氏は19歳の時に「人生50年計画」を立てている。「20代で名乗りを上げ、30代で軍資金を貯め、40代でひと勝負し、50代で事業を完成させ、60代で事業を引き継ぐ」というものだ。
50代までの孫氏は、この計画どおりに人生を進めてきた。48歳の時にボーダフォンを買収、携帯事業に進出したことが40代のひと勝負だった。その代償に、この時点で借金は2兆5000億円に膨れ上がった。
そこで50代になった孫氏は借金完済を宣言した。「人生50年計画の50代で事業を完成させるとは、自分でつくった借金をすべて返すこと。そして60代でバトンタッチする」と大見えを切った。
数年間は、順調に借金が減っていった。ところが2012年、孫氏は米スプリントを買収する。買収金額は1兆5000億円。これでまたも借金が増えた。さらにはアーム社の買収でさらに借金を重ねる。2兆円規模の借金完済を目指すどころか、いまやその10倍もの借金が積もり積もってしまったのである。
これは孫氏の性分というしかない。いくら大人しくしていようと思っても、チャンスと見るやじっとしていることができない。それだからこそ孫氏は一代にしてSBGを世界的企業グループに育て上げることができたのだ。
しかし、本気でバフェットのような投資家を目指すなら、この性格を捨てなくてはならない。孫氏にそれができるのか。あるいは生涯博打打ちとしての人生を歩むのか。