芸能

ザブングルにみるネットの手のひら返し「叩いていい人」認定の無責任

ネット世界の無責任さについて考察(左からザブングル松尾、加藤。時事通信フォト)

ネット世界の無責任さについて考察(左からザブングル松尾、加藤。時事通信フォト)

「人の噂も七十五日」。どんな噂であってもしばらくすれば消える、という意味のことわざだ。「叩いていい人」が次々と切り替わっていくネットの世界は、このことわざを体現しているのかもしれない。ネットニュース編集者の中川淳一郎氏が、ネットでの「叩いていい人」認定の無責任さについて考える。

 * * *
 ネットの手のひら返しというものは実に無責任である。「こいつは叩いてもいいヤツ」という空気が生まれたら徹底的に叩き、飽きるまで続ける。そして、次の叩いてもいいヤツ認定を受けた人間に移ってその人物を叩き始める。ここでも日本人は謎の「空気を読んで『叩いていい人を決める』」という同調圧力を発揮するのである。

 2月1日のデイリースポーツ電子版にこんな見出しの記事が出た。

〈ザブングル松尾が引退発表 「水神様」ファン沈む…「悲しい」「最後に特集を!」〉

 お笑いコンビ・ザブングルの「じゃない方」である松尾陽介のことである。相方は「カッチカチやぞ!」で知られる加藤歩だ。

 この記事に対するコメントには「松尾さんは、引退しても先輩達や芸人仲間が見放さないと思う。居心地の良い感じが出てる」など、松尾の引退を悲しむ声、ないしは40代になって大ブレイクをこれ以上するのが難しい以上、判断の妥当性を称賛する声、あるいはテレビに出ていた頃の松尾をホメる声が圧倒的に多かった。

 だが、松尾は2019年に「反社会勢力への闇営業」問題で謹慎したうちの一人で、当時ザブングルは猛烈に叩かれた。その後、反省の意を示すために介護のボランティアをしたりするも、「偽善だ!」「介護を甘く見るな!」などと批判された。

 しかしあれから1年半、世間の空気感はあの時「悪の総本山」的だった芸人の闇営業に一切の関心はなく、あくまでもコロナが最大の関心事になっている。あれだけ連日話題になった「闇営業」はどこへ行った?

 そして翌2020年初頭のネットでの最大の話題は「木下優樹菜がサッカー日本代表・乾貴士と不倫か? 2人の関係を特定するネットの“鬼女”とは?」というものだった。補足すると「鬼女」とは「きじょ」と読み、匿名掲示板・5ちゃんねるの「既婚女性板」に出入りする人々のことで、ネット上の情報の点と点を繋ぎ、疑惑を特定することに長けた人々のことを言う。

関連記事

トピックス

不倫疑惑に巻き込まれた星野源(『GQ』HPより)とNHK林田アナ
《星野源と新垣結衣が生声否定》「ネカフェ生活」林田理沙アナが巻き込まれた“不倫疑惑”にNHKが沈黙を続ける理由 炎上翌日に行われた“聞き取り調査”
NEWSポストセブン
主犯の十枝内容疑者
【青森密閉殺人】会社社長の殺人を支えた元社員は覚醒剤常習者「目がイッちゃって…」「人を殺すなら中国人に頼めば5〜6万円で跡形もなく……」の意味深発言
NEWSポストセブン
辛口評論家たちは今季の巨人をどう見ているか(阿部慎之助・監督)
江本孟紀氏が語る今季の巨人「阿部監督には派手さがない。それがいい」「もし優勝でもすれば、MVPは1年早く辞めた原前監督だと思いますね」
週刊ポスト
亡くなったことがわかったシャニさん(本人のSNSより)
《ボーイフレンドも毒牙に…》ハマスに半裸で連行された22歳女性の死亡が確認「男女見境ない」暴力の地獄絵図
NEWSポストセブン
殺人を犯すようには見えなかったという十枝内容疑者(Facebookより)
【青森密閉殺人】「俺の人生は終わった」残忍な犯行後にキャバクラに来店した主犯格の社長、女性キャストが感じた恐怖「怒ったり、喜んだり感情の起伏が…」近所で除雪手伝いの裏の顔
NEWSポストセブン
長男・正吾の応援に来た清原和博氏
清原和博氏、慶大野球部の長男をネット裏で応援でも“ファン対応なし” 息子にとって雑音にならないように…の親心か
週刊ポスト
殺害された谷名さんの息子Aさん
【青森密閉殺人】手足縛りプラスチック容器に閉じ込め生きたまま放置…被害者息子が声を絞り出す監禁の瞬間「シングルで育ててくれた大切な父でした」
NEWSポストセブン
竹内涼真と
「めちゃくちゃつまんない」「10万円払わせた」エスカレートする私生活暴露に竹内涼真が戦々恐々か 妹・たけうちほのかがバラエティーで活躍中
女性セブン
大谷が購入した豪邸(ロサンゼルス・タイムス電子版より)
大谷翔平がロスに12億円豪邸を購入、25億円別荘に続く大きな買い物も「意外と堅実」「家族思い」と好感度アップ 水原騒動後の“変化”も影響
NEWSポストセブン
被害者の渡邉華蓮さん
【関西外大女子大生刺殺】お嬢様学校に通った被害者「目が大きくてめんこい子」「成績は常にクラス1位か2位」突然の訃報に悲しみ広がる地元
NEWSポストセブン
杉咲花
【全文公開】杉咲花、『アンメット』で共演中の若葉竜也と熱愛 自宅から“時差出勤”、現場以外で会っていることは「公然の秘密」
女性セブン
史上最速Vを決めた大の里(時事通信フォト)
史上最速V・大の里に問われる真価 日体大OBに囲まれた二所ノ関部屋で実力を伸ばすも、大先輩・中村親方が独立後“重し”が消えた時にどうなるか
NEWSポストセブン