今回、JR東海はコナンとコラボしていないが、2018年から放送を開始したアニメ『新幹線変形ロボ シンカリオン THE ANIMATION』では全面的に制作を協力。シンカリオンは2019年に劇場版が公開され、今年4月9日からは新シリーズ『新幹線変形ロボ シンカリオンZ』が始まっている。
名探偵コナンでは、あくまで架空の世界であることを示すために現実と微妙に異なる名称を様々なものに使用しているが、シンカリオンシリーズでは逆に、実在する新幹線の名前がそのままロボット名に使われているという事情の違いがあるのかもしれない。
近年、鉄道会社がアニメやドラマとコラボする機会は増え、世間的にも大きな影響力を発揮するようになった。そうした中でも、コナンは国民的人気が高く、なにより鉄道と親和性が高い作品でもある。
1997年に公開されたコナンの劇場版第一作『名探偵コナン 時計じかけの摩天楼』は東都鉄道の環状線が事件の舞台として設定されていた。明確に東都鉄道がどこに所在するのかは描かれていないが、芝浜貨物駅や沢袋駅といった東京をイメージさせるモノが多く出てくる。こうした点から、東都鉄道の環状線が山手線をモデルにしていることが推測できる。
東都鉄道の環状線に仕掛けられた爆弾は、電車が時速60キロメートル未満にスピードダウンすると爆発することになっており、鉄道会社は爆発を避けるためノンストップで電車を走らせ続けることになった。
山手線の表定速度は30~35キロメートル。表定速度とは駅の停車時間なども含んだ平均時速のことだが、仮に駅に停車しないノンストップ運行でも時速60キロメートル以上で走り続けることは不可能に近い。
大阪にも大阪環状線があり、こちらの表定速度は時速20キロメートル前後と言われている。こうした鉄道の運行体制を見ても、犯人の要求「時速60キロメートルで走り続ける」が、いかに非現実的であるかがわかるだろう。これは、あくまでアニメの設定。しかし、物語として非現実的な設定は娯楽として古くから楽しまれており、鉄道映画だけに限っても『新幹線大爆破』(1975年)や、黒澤明が原案の『暴走機関車』(1985年)などがある。ありえない出来事に直面したときに、人間がとる言動はドラマティックなものとなる。
『名探偵コナン 緋色の弾丸』に登場する真空超電導リニアも、時速1000キロメートルで走行する設定になっている。JR東海が試験運転している中央リニアは「実験線では時速603キロメートルの記録はありますが、対外的には時速500キロメートルで運行と説明しています」(前同)つまり、コナンの真空超電導リニアは現実のリニアより2倍のスピードで走っている。
コナンこと江戸川コナンをはじめとして、今回の劇場版でも主要人物として登場するFBI捜査官・赤井秀一などは超人とも思える技能・才能を持つ。そのほか、コナンの登場人物には超人的な人物がたくさん登場する。