芸能

田村正和さん 近年の口癖は「やり切ったから静かに死にたい」だった

田村正和

『ニューヨーク恋物語』でも話題をさらった田村正和さん

『古畑任三郎』シリーズをはじめとして、数々のヒット作に主演した田村正和さんが亡くなった。77才だった。2018年2月のドラマ『眠狂四郎 The Final』(フジテレビ系)を最後に表舞台から姿を消していた田村さん。振り返れば、長い時間をかけて終活をしていたようにみえる。

 田村さんは1988年に横浜市郊外に生前墓を購入している。神奈川県横浜市郊外にある広大な公園墓地。園内でも見晴らしがよく、ひときわ大きな墓所が集まる一角に、隅々まで手入れが行き届いた墓塔がある。それが田村さんのお墓だ。

「もともと田村さんに霊園を紹介した知人は、体の強くない田村さんのために生前墓を持つことをすすめました。田村さんは、奥さんとこのお墓をお参りするたびに、自分がまだ健康でいられることを感謝するとともに、いつか来る旅立ちの日に思いを馳せていたはずです」(田村家と親しい関係者)

 相続の準備も生前に進めていた。田村さんの父は名優・阪東妻三郎。田村さんは京都・嵯峨野で生まれ育ち、9才の頃に世田谷に移り住んだ。

「田村さんの父が残した1000平方メートル以上の土地に建つ世田谷の豪邸は8億円近い値が付くといわれ、20年ちょっと前に相続税対策のため田村さんと和枝さん、個人事務所で名義を分割しています。これも家族に迷惑をかけたくないという心情の表れでしょう」(芸能関係者)

 来たるべき日の準備を進めていた田村さんが、最も強くこだわったのが、自分の死をどう世間に伝えるか、だったようだ。

「近年の田村さんは、“ぼくはもうやり切ったから静かに死にたい”が口癖でした。芸能界から事実上の引退をしたのちは、半世紀も連れ添った和枝さんと、ただただ静かな時を過ごし、風のように去りたいという思いだったよう。

 あれだけのスターですから訃報はすぐに芸能界を駆け巡り、お別れの会の開催も検討されるでしょう。でも、それは“静かに逝きたい”という彼の願いと異なります。田村さんの願いが叶えられたのだとしたら、それは奥様の和枝さんをはじめ、親族の皆様が、彼の“遺言”をしっかりと守り抜いた証拠だと思います」(前出・田村家と親しい関係者)

 かつて、和枝さんは田村さんにペンダントを贈っていた。そこにはラテン語で《昨日よりも今日、今日よりも明日、あなたを愛します》と書いてあったという。夫婦生活50年で育まれたその愛は、永遠のものになった。

※女性セブン2021年6月3日号

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