「自分を責めず、薬に頼ってもいい」

 小島さんは一度、発達障害の薬を飲んでみたことがあるという。医師から処方された薬を服用し、「普通の人はこんなに静かな世界で暮らしているの?」と驚いたという。

「それまでは、頭の中で絶え間なくいろんな思考や感情が動き続けていたのに、薬を飲んだら、シーンとしているんです。脳のスイッチをオンオフできるような感覚は驚きでした。世界が急に静かになって、脳にかかる負荷が軽くなったように感じました。私は薬が体質に合わず飲み続けることができませんでしたが、服薬するようになって困りごとが軽減したという、同じ障害を持つ知人もいます」

前出の精神科医の石井氏は、発達障害の特性を薬でコントロールできることもあるので、無理をせずに医療機関に相談して欲しいと話す。

「ADHDの場合、ドーパミンやセロトニン、ノルアドレナリンなど、脳内の神経伝達物質を薬で調整することで、不注意を改善したり、やる気や集中力を上げることができるのです。もちろん、薬なので副作用が起こることもありますし、症状によって服薬する量も違ってきます。保険適応されるので、医師に相談してから服薬してください」

 現在は「自分の特性とポジティブに付き合えるようになった」と小島さん。診断結果は、夫と2人の息子にもすぐに伝えたという。

「成長するにつれて、子どもたちも多様な人達と出会うことになる。発達障害を持つ母親が間近にいるのは、いい学びになると思ったんです。夫もすんなりと受け入れて、私を支えてくれています」

自分の経験を話すことが、発達障害を知る参考になれば、と小島さんは笑顔を見せる。

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