「野生馬」のような独自性

 ドライブの中で圧巻だったのは標高800m超の西伊豆スカイラインを走った時だ。この道路は高い樹木が少なく眺望が開けており、全国の高原道路の多くが名ばかりのスカイラインになっている中、珍しいくらいにスカイラインの名が似合う絶景ルートである。開通してから50年以上が経過しており、路面は老朽化が進んでうねりだらけで、クルマやバイクにとっては路面への追従性が試されるタフな道でもある。

西伊豆スカイラインにて。ワインディングロードでの安定性、安心感は特筆すべき高さだった

西伊豆スカイラインにて。ワインディングロードでの安定性、安心感は特筆すべき高さ

 その西伊豆スカイラインでのスカイラインの走りは素晴らしいの一言だった。きついうねりのあるコーナリングでも柔軟性の高いサスペンションが大きく動き、車体が煽られてタイヤへの車重のかかりが悪くなることがない。こと悪路でのグリップ力の安定性は過去に乗った内外のミッドサイズセダンの中でもトップクラスであるように思われた。

 今どきのスポーツセダンの多くはドイツのニュルブルクリンクサーキットで走りを煮詰めたりしているのでどれも一級の性能を持ち合わせているものだが、それでも最近は性能向上の過当競争の影響か、全般的に良路での“研ぎ澄まされ感”や限界性能を重視したサラブレッド志向が強まっている。

 スカイラインの足はそういうトレンドと一歩距離を置いた、言うなれば野生馬のようなイメージだった。これは現行スカイラインの独自性のひとつと言えよう。

 シャシーセッティングで気になった点はやや強めのブレーキで停止するときの揺り戻し。フロントが沈んだ状態から元に戻るとき、前後にゆさゆさと揺られるような動きが出る。こういう動きが出ても許されたのは10年くらい前までで、今は沈んだ鼻先が正位置に一発で止まるか、悪くても1回の揺れで止まるのが一流のモデルというものである。

高出力化に伴い、ブレーキキャリパーは大容量の対向4ピストン型に(スカイライン400R)

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