15年前からは11倍にも伸長しているプレーン炭酸水の生産量

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 手軽に得られる刺激を人々が求めていたところへ、2011年4月にウィルキンソンが500mlペットボトルを発売開始。同年10月には炭酸水メーカー「ソーダストリーム」が上陸するなど、炭酸水を手頃に飲める機会が一気に拡大したことが、炭酸水ブームを後押しした。

 なお、一般的な炭酸水の炭酸濃度は、大体3000ppmほど(※ppmは1㎏の水に何ミリグラム溶けているかを示す単位。この数値が高いほど炭酸濃度が高い)。前田先生によれば、「ビールが約5000 ppmで、それぐらいになると“強い刺激”という感覚が味わえる」という。

 炭酸水は家呑みでの割材にも重宝されたが、だんだん“普通”の炭酸では物足りなくなる。強炭酸水で割ったほうが爽快感もあり、「早く酔える」のだ。

「炭酸は血管を拡張するので、吸収が非常に早いんです。冷たいとさらに胃の蠕動運動が活発になって、早く腸に送られます。普通の水割りよりも炭酸の水割り、強炭酸の水割りのほうが早く吸収されて、早く血中濃度があがる。つまり炭酸が強ければ強いほど早く酔え、強烈なアルコールの印象になることから、アルコールでも強炭酸が人気なのだろうなと思います。業務用としても手軽に高圧で炭酸水を作ることができる機械が普及し、飲食店でも強炭酸水があることをうたう店が出てきていますね」

ソフトドリンクメニューに「高圧ガス」の水を用意する飲食店

ソフトドリンクメニューに「高圧ガス」の水を用意する飲食店

どれも同じ? プレーン炭酸水の選び方

 また、前田先生は「ペットボトル容器生成の技術力向上」も指摘する。

「炭酸飲料を入れたペットボトルは、内部から常に炭酸の圧力がかかっている状態になります。その際、容器は丸い形の方が、内部からの圧が均一にかかるため変形しにくい。底の形が平坦ではなく特徴的なのも、圧力を逃がすためです。

 ですので、強度が弱いペットボトルに炭酸飲料は入れられない。昔に比べてペットボトルを作る技術が向上し、高い圧力に耐えられる容器を作ることができるようになったのも、より強い炭酸飲料を発売できる理由でしょうね。そういう意味では、サントリーさんの新しい商品(「THE STRONG 天然水スパークリング」)は、炭酸飲料には珍しくボコボコとしたデザインを取り入れていて、頑張っているなあと思います」

 無味の無糖炭酸水がまさしく百花繚乱の様相を呈しているが、どのように選んだらいいのか。まずは元々が「ナチュラルミネラルウォーター」なのかどうか。そして、「原材料」だ。プレーン炭酸水なら、基本的に「水」と「炭酸」のみでできる。しかし、無糖、かつフレーバー入りでなくても、「硫酸マグネシウム」や「ビタミンC」といったミネラル、ビタミンを添加して“機能性”をアピールするものや、原材料をよく見ると「塩化カルシウム」「酸味料」など、水と炭酸以外のものが添加されているものもある。

「水と炭酸以外のものが入っている場合、やはり“味”がすることがあります。塩化カルシウムを添加すると、若干硬水に近い口当たりになるわけですね。ただ、結局自分にとって飲みやすいな、と思えることがいちばん大切なので、基本的には色々試して、好きなものを飲めばいいと思います」

 なお、ペットボトルの炭酸水は長期間置いておくとだんだん炭酸が抜けていく。通常のペットボトル飲料に比べて消費期限が短く設定されているので、消費期限には要注意。買いだめはしすぎないほうがよさそうだ。

【プロフィール】
前田眞治/国際医療福祉大学大学院リハビリテーション学分野教授。医学博士/1983年、北里大学医学部大学院医学研究科内科学専攻博士課程を修了。北里大学医学部神経内科講師、北里大学医療衛生学部リハビリテーション学科助教授、北里大学東病院リハビリテーション科科長を経て、現職。国内における炭酸研究の第一人者で、主な著書に「炭酸パワーで健康になる!」(洋泉社)、「温泉の最新健康学」(悠飛社)、「やせる!きれいになる!炭酸生活」(幻冬舎)、「この一冊で炭酸パワーを使いきる!」(青春文庫)がある。

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