「誰にでもチャンスはあった時代」と甘糟さん

GOLDについて語る甘糟さん

石田:GOLDは倉庫一棟を全部使って、ディスコからバー、会員制クラブまであった“大箱”でした。それにしても甘糟は本当に店に詳しいね。

甘糟:あの頃はネットなんてないから、店情報を丸ごと暗記していたんですよね。街をふらふらするだけで楽しかった。しょっちゅう朝まで飲んでました。

石田:そうそう。遊びに行くと、帰りは朝の5~6時。少しだけ横になって、9時頃に撮影に向かっても平気だったなぁ。撮影もハードで、月曜の夜からぶっ続けで火曜のお昼まで連続で撮って、撮影終わりが24時を通り越して「35時(翌日の11時)」になったりしてね。時間までバブルだったのかな。

甘糟:今なら「ブラック」といわれる働き方ですよね。でも、今と違うのはちゃんと対価が支払われていたこと。

 ちなみに、バブル時代の映像というとジュリアナ東京がよく流されますが、1991年3月にバブルが完全に終わって、ジュリアナ東京がオープンしたのはその2か月後なんです。人気店になったのはそれよりさらに数か月も後。だから、あの光景はバブル時代ではなくて、バブルの後なんですよね。当時遊んでいた人は、あんまりジュリアナには行っていないんじゃないかな。街には華やかさのかけらは多少残っていたかもしれませんが、バブルが完全に終わる前とは空気が違うように感じました。1990年の年末と1991年の年末では、街の気分がずいぶん変わっていたと思います。

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