ロイター通信は「Kawamura had turned Goto’s gold medal into a germ medal」(「河村が金メダルを菌メダルに変えた」)と報じた。こうしたおっさんの問題が、笑い話ではなく国益を損なう問題にまで発展している。その後、後藤選手に対するセクハラ発言まで公開された。散々報じられているので中身はいちいち書かないが、まあ、こういうおっさんは普通にいる。ただ彼が、日本を代表する都市の市長であるという問題があるだけだ。
「あと4年も(任期が)あるなんて悲しいですね。誰ですかあのような方に入れたのは、私は入れておりません」
名古屋市内に住む通信制大学時代の元学友は電話口で心底嫌そう。彼も高齢者だが河村みたいなことはしない。そもそもこんなのは河村市長やごく一部だけで、改めて重ねるが多くの方はちゃんとしている。それにしても任期はまだ4年ある。名古屋市民はもちろん、選んだはずもない他の愛知県の市町村民にとっても4年は長そうだ。
一部のおっさんが社会規範をアップデートできないまま、いまだに古い価値観で日本の国際的な評判を落とし続けている。国益を損なうおっさん――オリンピックは選手の奮闘以外あんまりなイベントだったが、日本のために退場願いたい旧世代のおっさんたちをあぶり出したことは評価すべきだろう。そして我々下の世代も、次代の子どもたちに旧人類の価値観を持ち越さないようアップデートし続けなければならない。
それにしても還暦過ぎてこんなおっさん、というか人間にはなりたくないものである。
【プロフィール】
日野百草(ひの・ひゃくそう)/本名:上崎洋一。1972年千葉県野田市生まれ。日本ペンクラブ会員。出版社を経てフリーランス。全国俳誌協会賞、日本詩歌句随筆評論協会賞奨励賞(評論部門)受賞。『誰も書けなかったパチンコ20兆円の闇』(宝島社・共著)、『ルポ 京アニを燃やした男』(第三書館)ほか。近著『評伝 赤城さかえ 楸邨、波郷、兜太から愛された魂の俳人』(コールサック社)。