40代後半のうつ病患者(男性)の減薬事例

40代後半のうつ病患者(男性)の減薬事例

 岩間洋亮医師(心越クリニック院長)は認知症薬の副作用を懸念する。

「在宅治療中の80代の女性がん患者は軽度の認知症との診断を受け、認知症薬を処方された頃から家でとても怒りっぽくなった。そこで認知症薬の中止を提案したら症状が落ち着き、いまでは一人で歩いてトイレにも行けるようになりました。そもそも認知症薬は治療薬ではなく、症状悪化や進行を抑えるのが目的の薬です。認知症が重度になれば効果はなく、吐き気や食欲不振など副作用だけが目立つようになる」

 前出・高瀬医師もこう指摘する。

「認知症が進行して暴力的な症状などが出ると、それを抑えるために抗精神病薬が処方されることがある。しかし、抗精神病薬が脳内のドーパミン神経の活動を抑えることで、かえって認知機能を低下させてしまうことがあります」

 症状を抑えるつもりの薬が、新たな病気を招くこともある。病状に応じたきめ細かな診察、適切な処方が切に望まれる。

※週刊ポスト2021年8月27日・9月3日号

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