一昨年、長篇歴史ミステリ(『聖者のかけら』)を刊行した。一般読者向けのエッセイは今回が初めてだ。天賦の才を感じるのびのびした筆致だが、「エッセイを書くのが好きかって聞かれると、結構しんどいです。時間がかかって、3カ月に1回という現在のペースが精いっぱいです」と言う。
「私、大槻ケンヂさんが大好きなんですけど、大槻さんが本の中で、エッセイを書くときは、自分が好きなエッセイストを思い浮かべてその人になったつもりで書く、みたいなことをおっしゃってたんです。
大槻さんとはキャラクターが違い過ぎるので、やはり大好きで、自分とちょっと似た匂いの、カレー沢薫さんになったつもりで書きました。逡巡するというか、何か決めつけるんじゃなく、考えを膨らませたり変なところに迷い込んだりしながらおぼつかなく進んでいくのが個人的に面白いと思っています」
【プロフィール】
川添愛(かわぞえ・あい)/作家。1973年生まれ。九州大学文学部卒業、同大大学院で博士号(文学)取得。2008年津田塾大学女性研究者支援センター特任准教授、2012年から2016年まで国立情報学研究所社会共有知研究センター特任准教授。専門は言語学、自然言語処理。近著に『ふだん使いの言語学』『ヒトの言葉 機械の言葉』『聖者のかけら』『数の女王』『コンピュータ、どうやってつくったんですか?』など多数。
取材・構成/佐久間文子
※女性セブン2021年9月16日号