子供たちが喜ぶ歌を追求してきた
振り返ると、自分の歌手人生は『アルプスの少女ハイジ』が転機だったと言う大杉さん。
「ハイジのエンディング以降、ステージで歌うお仕事をいただけるようになったのですが、子供向けのイベントでは、猛暑だろうと寒空の中だろうと、子供たちが目をキラキラ輝かせながら、歌を聴いてくれるんですね。それがうれしくて、どうしたらもっと喜ばせてあげられるかなと考えて歌うようになりました」
子供が聴きやすいように、ハッキリとした言葉で、明るく歌う。そして音はパッと上げてパッと下げるなどしてメリハリをつけるなど、工夫を凝らして歌うようにしたことで、アニメソング界でどんどん地位を確立していった。
「いまでも、“私、大杉さんの歌で育ちました”と言われる機会があるのですが、それが本当にうれしいんです」
と言う大杉さん。これこそ、アニメソングを歌い続けてきた醍醐味だと、当時と変わらぬ美声を弾ませた。
【プロフィール】
大杉久美子(おおすぎ・くみこ)/歌手。東京都出身。『アタックNO.1』や『エースをねらえ!』などのアニメソングを歌ってきた。“世界名作シリーズ”では5作品の主題歌を担当。アルバムに『ベスト・オブ・ベスト 大杉久美子』(日本コロンビア)など。
取材・文/桜田容子
※女性セブン2021年9月16日号