NY州弁護士の山口真由氏

NY州弁護士の山口真由氏

三浦:小室さんは、お母さんから「あなたは大した人物になるのよ」と言われ続けて、素直に信じて育った。それって、ゆとり世代が受けた教育そのままです。実際にいまの30歳前後の人たちは私たちと全然感覚が違って、のほほんと余裕がたっぷりだし、いきなり仕事を辞めたりしますから。

山口:確かにあの自己肯定感は母親の影響でしょうね。「あなたは特別、あなたは特別」とシャワーのように浴びせられ続けてきたんだと思う。私はコンプレックスの塊なので羨ましくて仕方ない。

倉田:『だめんず・うぉ~か~』を描いた時に学んだけど、「俺はすごい」と本気で思っている男は、結構周りを巻き込むんです。自分を疑わない男の傍にいると、「実はこの人、ほんとにすごいのかも」って思えてくるの。そんなに多くには伝播しないけど、近くにいる人にはそう伝わってしまう。

三浦:40代になるとその人の本当の力が見えてくるけど、小室さんの年齢だったら、まだまだへこんでいなくて当然なのですから。

倉田:だから私は二人の結婚には大賛成だけど、小室さんには「ああこの人、いいじゃん」というところをまだ見せていただいていない(苦笑)。そこは「頼むよ、小室さん!」という気持ち。

山口:それで言えば、米国の司法試験を受けて、現地の法律事務所に職を得た小室さんの挑戦自体は評価すべき。彼の就職はコネではない。今後は真価が問われるでしょうけど、持ち上げすぎるでも貶めるでもなく、試練が待つポストに身を置くこと自体は真っ当に評価されるべき。

(第3回に続く)

【プロフィール】
倉田真由美(くらた・まゆみ)/1971年福岡生まれ。漫画家。一橋大学商学部卒。『だめんず・うぉ~か~』(扶桑社)でブレイク。テレビ、ラジオのレギュラー出演も多数。近著に『もんぺ町ヨメトメうぉ~ず」(小学館)。

山口真由(やまぐち・まゆ)/1983年北海道生まれ。NY州弁護士。東京大学法学部卒。財務省勤務を経て、2009~2015年、弁護士として法律事務所に勤務。現在は信州大学特任教授。近著に『「ふつうの家族」にさようなら』(KADOKAWA)。

三浦瑠麗(みうら・るり)/1980年神奈川県生まれ。国際政治学者。東京大学大学院法学政治学研究科博士課程修了。株式会社山猫総合研究所代表。近著に『日本の分断 私たちの民主主義の未来について』(文春新書)。

※週刊ポスト2021年10月15・22日号

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