◆「気が緩んでいたから」と欠勤扱い(2020年4月)
Bさん(50代男性)は初孫が生まれたので、近畿地方へお宮参りに行った。その後、Bさんの会社ではコロナの感染者が出た。すると、出発前には上司や同僚から「気をつけて行ってきてね」と言われていたのに、「なんでこんな時期に出かけた」などと態度が一変。
自身は感染していたわけではないのに上司から1週間程度休むように指示され、「気のゆるみが原因だから」と欠勤扱いになると言われた。
◆長男が感染で「有給休暇を使え」(2020年6月)
Cさん(50代女性)は同居する20代の長男が発熱したことを会社に報告した。長男がアルバイトをしていることを会社の上司に伝えると、2週間の出勤停止を告げられ、「緊急事態宣言中に子供をバイトに行かせていたんだから、あなたは特別休暇ではなく有給休暇を半分使いなさい」と言われた。
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PCR検査等、診察でコロナ感染が判明して休業する場合には、会社側に休業手当を支給する責任はなく、雇用保険などから傷病手当金などが支給される。一方、「感染の疑いがあるから」という会社の都合で休業させる場合には、会社側に休業手当を支給する必要がある。
そうした「感染疑い」休業の場合、全額支給される有給休暇を自ら選ぶ人もいる(各種補償の支給率は6割程度のため)。しかし、有給休暇は本人が希望する時期に取得することができる労働者の権利であるから、会社側が時期を指示して有給休暇を適用させるのはルール違反だ。