5年生存率が「0%」に

 金田氏のように早期のがんを見逃された「隠れがん患者」は、がんが進行した状況で見つかることによる困難と向き合わなくてはならない。がんは早期であるほど治癒の可能性が高いが、進行した状態では治療方法の選択肢が減り、生存率も下がる。前出・上医師が言う。

「胃がんや大腸がんなど、早期であれば内視鏡治療で済むものが、がんが大きくなれば開腹手術が必要になり、場合によっては抗がん剤や放射線治療も必要になってきます。がんの種類を問わず、早期発見が大事です」

 それを裏付けるのが、がん5年生存率のデータだ。全国がんセンター協議会の生存率共同調査によると、ステージ1の胃がんでは、内視鏡治療を受けた患者(50代以上の男女)の5年生存率が100%だったのに対し、ステージ4では0%だった(腹腔鏡下手術や開腹手術を受けた患者は0~50.7%)。

「胃がんはステージが1つ上がると2~3割も死亡率が上がると言われており、検診による早期発見の重要性が特に大きい」(上医師)

 同様に大腸がんは治療が1か月遅れると、患者の死亡リスクが13%増えるという海外の研究結果も出ている。

 難しいのは、これらのがんは早期では自覚症状がなく、検診で見つける以外に方法がほぼないことだ。日本人男性のがんの部位別の死因1位である肺がんは進行するまで症状がなく、発見時には手遅れ、というケースが少なくないという。

 コロナ患者が急速に減少した今こそ、改めてがんの早期発見のための検診の重要性について考える必要があると言えるだろう。

「もともと家族が『がん家系』などでリスクが高いとされる人は特に受けたほうがいいでしょう。どの検診を受けるかは個別に考える必要があるため、主治医と相談するなどして既往歴や生活習慣に合わせて受ける検診を選んでください。

 最近はがん検診自体のリスクも急速に減っています。肺がん検診は低線量CTなら医療被曝のリスクも低く、胃がん検診も内視鏡検査ならバリウムを飲む必要はありません。コロナの感染者数も落ち着いた今こそ検診に目を向けてほしい」(上医師)

 コロナ禍で検診や通院から離れている人は、自身の体調変化に十分に気を配ってほしい。

※週刊ポスト2021年12月3日号

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