芸能

清野菜名の『ハンオシ』 逃げ恥メソッドを踏襲するアッパレな戦略

番組公式HPより

番組公式HPより

 ヒットドラマの”法則”は、コアなファンにとって心地よいものである。ドラマウォッチを続ける作家で五感生活研究所代表の山下柚実氏が分析した。

 * * *
 ドラマ『婚姻届に判を捺しただけですが』(通称『ハンオシ』)の放送時間はTBS火曜日の午後10時。そう、『逃げるは恥だが役に立つ』『恋はつづくよどこまでも』『私の家政夫ナギサさん』等のヒットラブコメを連発してきた時間枠です。

 率直に言って今回の『ハンオシ』は、『逃げ恥』ほどの人気を集めているとはいえないけれど地味に手堅い。視聴率を見ても第1話9.4%からスタートし第4話で10.0%と二桁台にのせ、今週放送された第6話は9.2%(関東地区 世帯視聴率)と、後半に入っても底堅く安定飛行を続けています。

 この時間枠にTBSがラブコメをブレずに貫いてきた一定の成果であり、視聴者の潜在的ニーズをきっちりと掴んでいる証しでしょう。

 物語は--イケメンの広告マン・百瀬柊(坂口健太郎)に“偽装結婚”を頼まれた大加戸明葉(清野菜名)。結婚に全く興味がなかった明葉も、突如必要となった資金のため「返済したら離婚する」という条件付きで借金+偽装結婚に応じることに。

 そもそも明葉はデザイナーで“おひとり様最高”のバリキャリ。百瀬も「不毛な恋の隠れ蓑として既婚者になりたい」という不純な動機を持つ。

 いわば、両者仕方なくスタートした偽装結婚ですが、二人の距離は微妙に近づき胸キュンシーンも挿入され……まさしく逃げ恥メソッドを踏襲したTBSのラブコメ路線、したたかです。

 今作は特に、キャスティングに注目でしょう。何といっても百瀬役の坂口健太郎さんは、直前までNHK朝ドラ『おかえりモネ』で大人気の「菅波先生」を演じていて朝ドラが終わったとたんにTBSへと横ずれ。百瀬の人柄も菅波先生に通じるところがあり、やや不器用で女性とつきあった経験も多くはない。となるともはや菅波先生と別人と言われても視聴者は自然に朝ドラに重ねてしまい、あるいは混同する形で坂口さんを見つめてしまう。

 考えてみればアッパレな戦略です。NHKで盛り上がったキャラの成果をそっくりスライドさせて活かすとは。こういう方法もあったのか、と膝を打つ。

関連記事

トピックス

嵐について「必ず5人で集まって話をします」と語った大野智
【独占激白】嵐・大野智、活動休止後初めて取材に応じた!「今年に入ってから何度も会ってますよ。招集をかけるのは翔くんかな」
女性セブン
SNSで「卒業」と離婚報告した、「第13回ベストマザー賞2021」政治部門を受賞した国際政治学者の三浦瑠麗さん(時事通信フォト)
三浦瑠麗氏、離婚発表なのに「卒業」「友人に」を強調し「三浦姓」を選択したとわざわざ知らせた狙い
NEWSポストセブン
前号で報じた「カラオケ大会で“おひねり営業”」以外にも…(写真/共同通信社)
中条きよし参院議員「金利60%で知人に1000万円」高利貸し 「出資法違反の疑い」との指摘も
NEWSポストセブン
昨年ドラフト1位で広島に入団した常広羽也斗(時事通信)
《痛恨の青学卒業失敗》広島ドラ1・常広羽也斗「あと1単位で留年」今後シーズンは“野球専念”も単位修得は「秋以降に」
NEWSポストセブン
中日に移籍後、金髪にした中田翔(時事通信フォト)
中田翔、中日移籍で取り戻しつつある輝き 「常に紳士たれ」の巨人とは“水と油”だったか、立浪監督胴上げの条件は?
NEWSポストセブン
二宮が大河初出演の可能性。「嵐だけはやめない」とも
【全文公開】二宮和也、『光る君へ』で「大河ドラマ初出演」の内幕 NHKに告げた「嵐だけは辞めない」
女性セブン
新たなスタートを切る大谷翔平(時事通信)
大谷翔平、好調キープで「水原事件」はすでに過去のものに? トラブルまでも“大谷のすごさ”を際立たせるための材料となりつつある現実
NEWSポストセブン
品川区で移送される若山容疑者と子役時代のプロフィル写真(HPより)
《那須焼損2遺体》大河ドラマで岡田准一と共演の若山耀人容疑者、純粋な笑顔でお茶の間を虜にした元芸能人が犯罪組織の末端となった背景
NEWSポストセブン
JR新神戸駅に着いた指定暴力団山口組の篠田建市組長(兵庫県神戸市)
【ケーキのろうそくを一息で吹き消した】六代目山口組機関紙が報じた「司忍組長82歳誕生日会」の一部始終
NEWSポストセブン
元工藤會幹部の伊藤明雄・受刑者の手記
【元工藤會幹部の獄中手記】「センター試験で9割」「東京外語大入学」の秀才はなぜ凶悪組織の“広報”になったのか
週刊ポスト
森高千里、“55才バースデー”に江口洋介と仲良しショット 「妻の肩をマッサージする姿」も 夫婦円満の秘訣は「お互いの趣味にはあれこれ言わない」
森高千里、“55才バースデー”に江口洋介と仲良しショット 「妻の肩をマッサージする姿」も 夫婦円満の秘訣は「お互いの趣味にはあれこれ言わない」
女性セブン
【初回放送から38年】『あぶない刑事』が劇場版で復活 主要スタッフ次々他界で“幕引き”寸前、再出発を実現させた若手スタッフの熱意
【初回放送から38年】『あぶない刑事』が劇場版で復活 主要スタッフ次々他界で“幕引き”寸前、再出発を実現させた若手スタッフの熱意
女性セブン