苦しむ患者の悩みに寄り添うがん難民コーディネーターの藤野邦夫さんも、心身の苦痛を取り除くことが最重要だと話す。
「がん患者はしばしば“もう死んでしまいたい”と口にしますが、その理由のほとんどは身体的な苦痛が取り除かれていないためです。実際、延命治療を4年間受けている重度の乳がん患者は、抗がん剤やホルモン療法の副作用がつらくて、治療を始めてから1日も晴れた気分になれないと吐露しました。卵巣がんで全身に転移した患者にも、お腹に水がたまって座ることすらできなくて、苦しんでいた人がいる。
逆に、こうした苦しみが緩和ケアによって取り除かれれば、末期の状態でも気持ちが前向きになり、食事が摂れたり外出をしようとする気力が出てきたりする。幸せに旅立つことができますし、生きる気力が湧いて寿命が延びる人もいます」
※女性セブン2022年1月1日号