大みそかの格闘技も一番特番だった
3つ目は、新たなスター誕生の瞬間を見られ、それが来年につながっていくこと。ここまでの結果で言えば、『THE W』王者のオダウエダと『ものまねグランプリ』王者の武内駿輔さんは新たなスターであり、来年の活躍が確実視されています。
さらに言えば、惜しくも敗れて2位や3位などに終わった人も、悔しそうな姿から感情移入されやすく、来年のスターとなる可能性大。『M-1グランプリ』で言えば、2位のオズワルド、3位のインディアンスへのオファーがこれまで以上に増えるでしょう。テレビ局にとっても新たなスターは1組でも多いほうがいいため、番組出演はおのずと増えていくものです。
スポーツに目を向けると、かつて大みそかの格闘技特番も、「今、一番強いのは誰か」という意味合いが濃かったころは20%超の世帯視聴率を獲得していました。現在は格闘技人気が低迷しているというより、以前ほど「最強決定戦」のようなマッチメイクがしづらくなったことが大きいのかもしれません。
なかなか12月にクライマックスを迎えるスポーツがない中、23日から4夜連続で放送されている『全日本フィギュアスケート選手権』(フジテレビ系)は誰の目にもわかる日本一決定戦。ほぼ毎年クリスマスの時期に行われることもあってクリスマス特番としての印象も強く、ガチンコと華やかなムードの両方を併せ持つ“一番特番”として定着しています。
やはり年末に「一番」を決めることは日本人にとって特別な感覚があるのは間違いないでしょう。テレビ局にとって重要なのは、いかにスケールを広げ、視聴者が納得できる形で届けていくか。「今年の一番」を決める特番の候補は、各ジャンルにまだまだあるだけに、来年は新たな“一番特番”が放送されているかもしれません。
【木村隆志】
コラムニスト、芸能・テレビ・ドラマ解説者。雑誌やウェブに月30本前後のコラムを提供するほか、『週刊フジテレビ批評』などの批評番組に出演し、番組への情報提供も行っている。タレント専門インタビュアーや人間関係コンサルタントとしても活動。著書に『トップ・インタビュアーの「聴き技」84』『話しかけなくていい!会話術』『独身40男の歩き方』など。