しかし、接種当日に亡くなった事例を「因果関係不明」で済ませていいのだろうか。白血病など小児がんの研究・治療に携わり、コロナワクチンと類似の技術を応用した遺伝子治療の開発にも携わってきた名古屋大学名誉教授(小児科)の小島勢二医師が話す。

「ワクチンは基本的に、それまで普通に生活できていた健康な人を対象にしたものです。にもかかわらず、接種した当日に亡くなったら、ご遺族がワクチンと関係があるのではないかと思うのは当然です。

 さまざまな検査をして異常が見つからなくても、ほかに要因が考えられなければ、『これが原因だ』と判断するのが臨床の基本です。今回のケースも、ワクチンと無関係とは言えないはずです。私の外来にも、接種後に倦怠感が出て、2週間学校を休んでいるという子供が訪れています」

 ファイザーとモデルナが提供する新型コロナウイルスのワクチンは、ウイルスのたんぱく質の遺伝子の一部を脂質の膜で包んだものが主成分となっている。体内に注入することで脂質に包まれた遺伝子が人体の細胞に取り込まれ、その細胞が新型コロナウイルスの表面に存在する突起状の「スパイクたんぱく」を作り出すようになる。それを免疫細胞が認識することで、体内にウイルスに対抗する抗体ができるとされている。

『女性セブン』2022年2月3日号でも、このスパイクたんぱくがワクチン後遺症の引き金になっているのではないかという免疫学の専門家と医師のコメントを紹介したが、小島医師も、その可能性があると指摘する。

「新型コロナに感染すると、免疫細胞から分泌される物質によって炎症が促進され、臓器が傷害される『サイトカインストーム』という現象が重症化に関与することが知られています。まだ全貌は明らかになっていませんが、ワクチンによって作られたスパイクたんぱくによっても、サイトカインストームが引き起こされ、それが倦怠感などの要因になっている可能性があるのではないでしょうか。国内外の研究報告などから、私はそう考えています」

 小島医師はこうした現状を前に、少なくとも子供への接種においては、メリットよりもリスクが上回るのではないかと警鐘を鳴らす。

「そもそも、子供たちはコロナに感染しても、ほとんどが無症状か軽症ですんでしまいます。実際に愛知県で今年1月20日の時点で陽性と判定された2万人を超える10才未満、10代のうち重症となった人はゼロでした。一方で、接種後に死亡したり、後遺症に苦しむ10代が少なからずいる」

 日本全国の事例に照らし合わせても、コロナへの感染によって命を落とした10代の人数は4人。現時点では接種後に死亡したと報告されている人数を下回っている。自分で判断することが難しい幼い年齢の子供たちに、本当に接種が必要なのか。真剣に冷静に考える必要がある。

レポート/ジャーナリスト・鳥集徹と本誌取材班

※女性セブン2022年2月10日号

関連記事

トピックス

水卜麻美アナ
日テレ・水卜麻美アナ、ごぼう抜きの超スピード出世でも防げないフリー転身 年収2億円超えは確実、俳優夫とのすれ違いを回避できるメリットも
NEWSポストセブン
かつて問題になったジュキヤのYouTube(同氏チャンネルより。現在は削除)
《チャンネル全削除》登録者250万人のYouTuber・ジュキヤ、女児へのわいせつ表現など「性暴力をコンテンツ化」にGoogle日本法人が行なっていた「事前警告」
NEWSポストセブン
撮影現場で木村拓哉が声を上げた
木村拓哉、ドラマ撮影現場での緊迫事態 行ったり来たりしてスマホで撮影する若者集団に「どうかやめてほしい」と厳しく注意
女性セブン
5月13日、公職選挙法違反の疑いで家宅捜索を受けた黒川邦彦代表(45)と根本良輔幹事長(29)
《つばさの党にガサ入れ》「捕まらないでしょ」黒川敦彦代表らが CIA音頭に続き5股不倫ヤジ…活動家の「逮捕への覚悟」
NEWSポストセブン
5月場所
波乱の5月場所初日、向正面に「溜席の着物美人」の姿が! 本人が語った溜席の観戦マナー「正座で背筋を伸ばして見てもらいたい」
NEWSポストセブン
氷川きよしの白系私服姿
【全文公開】氷川きよし、“独立金3億円”の再出発「60才になってズンドコは歌いたくない」事務所と考え方にズレ 直撃には「話さないように言われてるの」
女性セブン
田中みな実、寝る前のスマホ断ちで「顔のエラの張り出しがなくなった」 睡眠の質が高まり歯ぎしりが軽減された可能性
田中みな実、寝る前のスマホ断ちで「顔のエラの張り出しがなくなった」 睡眠の質が高まり歯ぎしりが軽減された可能性
女性セブン
AKB48の元メンバー・篠田麻里子(ドラマ公式Xより)
【完全復帰へ一直線】不倫妻役の体当たり演技で話題の篠田麻里子 ベージュニットで登場した渋谷の夜
NEWSポストセブン
”うめつば”の愛称で親しまれた梅田直樹さん(41)と益若つばささん(38)
《益若つばさの元夫・梅田直樹の今》恋人とは「お別れしました」本人が語った新生活と「元妻との関係」
NEWSポストセブン
被害者の平澤俊乃さん、和久井学容疑者
《新宿タワマン刺殺》「シャンパン連発」上野のキャバクラで働いた被害女性、殺害の1か月前にSNSで意味深発言「今まで男もお金も私を幸せにしなかった」
NEWSポストセブン
広末涼子と鳥羽シェフ
【幸せオーラ満開の姿】広末涼子、交際は順調 鳥羽周作シェフの誕生日に子供たちと庶民派中華でパーティー
女性セブン
NHK次期エースの林田アナ。離婚していたことがわかった
《NHK林田アナの離婚真相》「1泊2980円のネカフェに寝泊まり」元旦那のあだ名は「社長」理想とはかけ離れた夫婦生活「同僚の言葉に涙」
NEWSポストセブン