このジュリーの圧倒的な歌唱パフォーマンスに、スタジオに居合わせたスタッフも他の出演者たちも感動し、言葉をしばし失っていたという。
歌い終わりからエンディングまでの間に、司会の芳村真理が、50枚の畳が敷かれていたことを明かし、同じく司会の井上順が畳に上がり、ジュリーのポーズを真似たところで番組が終了した。このシーンはファンの間で「神回」と呼ばれ、同年11月6日放送の『夜のヒットスタジオ11周年記念企画』でも「名場面」として取り上げられた。
当時の感動を芳村はこのように述懐している。
《やっぱり、ジュリーのオーラは特別なのよ、最初から違ってた》(『週刊朝日』2020年8月7日号)
《ジュリーはお高くとまっているわけでもないのだけど、ふっと立ってるだけで、みんなが注目しちゃう。(中略)和田アキ子さんが手にびっしょり汗をかいて全然しゃべらないから『どうしたの?』と聞いたら、『ジュリーがかっこよすぎる』って(笑)》(『家庭画報』2018年1月号)
このときの衣装はスパンコールで唐獅子牡丹を貼り付けたシースルーの衣装を身に着けた上に軍服をまとったもので、とても強烈なインパクトがあった。衣装を担当したデザイナーの早川タケジさんは「無我夢中で面白いと思うことを追求した結果」だと言い、
《軍服、楯の会の三島由紀夫、(高倉)健さんの唐獅子牡丹……こんなアブない組み合わせができたのは我ながら上出来でした》(『週刊朝日』2021年11月5日号)と語っている。
『カサブランカ・ダンディ』の生成りのジャケットは仮縫いで使用したシーチングの生地で作ったものをそのまま使用した「不良アイビー」のイメージで、ジーンズにウイスキーの小瓶を差し込んでいた。
「口に含んで霧吹きするパフォーマンスがありましたが、本物のウイスキーだったので、スタジオ中にアルコールのにおいが一気にブワッと広がったのを覚えています(笑い)」(前出・西澤さん)