悲劇の結末を彩る悲壮美に満ちていた

白石哲也氏が担当した『るろうに剣心』。悲劇の結末を彩る悲壮美に満ちていた

――CGというと、「どれだけ現実と異なる映像を描くか」というイメージがあったのですが、一方で「いかにリアルに近づけるか」という思想もあるのですね。

白石:『トランスフォーマー』のようなCGバリバリの映画もいいんですが、そうではなくてクリストファー・ノーランやドゥニ・ヴィルヌーヴみたいな、「実写に見えるけど、なんでこんな映像になっているか分からない。でもなんだかリアルだ」というような作品が僕らの理想であり、追求していかなければいけないと思っています。

──今回の取材でVFXの制作にはものすごく手間がかけられていることがよく理解できました。でも「CG」というと、「パソコンでちゃちゃっと合成できてしまう」と思われがちですよね……。

白石:たしかに「簡単にできるでしょう」みたいに思われがちなんです。

――その「ちゃちゃっと」の中にどれだけの創意工夫と時間が込められてきたのか。そこは実はかつての日本映画と変わらない。白石さんのお話で多くの方にそこを知ってもらえたのではと思っております。

白石:クリエイターの想いが各所に詰まっています。それに、昔の映画にはワンカットの画に力強さがあるんですよね。ですからCGを担当しているスタッフも、たとえば昔の黒澤明監督の映画を観ながら煙の流れ方の勉強などもしているんですよ。これまでの映画の流れを汲んでCGに取り込んでいこうという想いでやっています。

◆聞き手・文/春日太一(かすが・たいち)/1977年生まれ、東京都出身。映画史・時代劇研究家。

【プロフィール】
白石哲也(しらいし・てつや)/株式会社Spade&Co.VFXディレクター。映画・テレビドラマのVFXを担当。代表作は『るろうに剣心』シリーズほか、『マスカレード・ホテル』『孤狼の血』『全裸監督』ほか多数。

※週刊ポスト2022年2月18・25日号

関連記事

トピックス

西城秀樹さんの長男・木本慎之介がデビュー
《西城秀樹さん七回忌》長男・木本慎之介が歌手デビューに向けて本格始動 朝倉未来の芸能事務所に所属、公式YouTubeもスタート
女性セブン
兵役のため活動休止中のBTS。メンバー全員が除隊となる2025年にグループ活動再開を目指している(写真/アフロ)
【韓国大手事務所HYBEの内紛】「BTSの父」と「NewJeansの母」が対立 ARMY激怒で騒動は泥沼に、両グループの活動に影響も
女性セブン
有村架純と川口春奈
有村架純、目黒蓮主演の次期月9のヒロインに内定 『silent』で目黒の恋人役を好演した川口春奈と「同世代のライバル」対決か
女性セブン
林田理沙アナ。離婚していたことがわかった(NHK公式HPより)
離婚のNHK林田理沙アナ(34) バッサリショートの“断髪”で見せた「再出発」への決意
NEWSポストセブン
フジ生田竜聖アナ(HPより)、元妻・秋元優里元アナ
《再婚のフジ生田竜聖アナ》前妻・秋元優里元アナとの「現在の関係」 竹林報道の同局社員とニアミスの緊迫
NEWSポストセブン
小泉氏は石破氏に決起を促した
《恐れられる“純ちゃん”の政局勘》小泉純一郎氏、山崎拓氏ら自民重鎮OBの会合に石破茂氏が呼ばれた本当の理由
週刊ポスト
大谷翔平(左/時事通信フォト)が伊藤園の「お〜いお茶」とグローバル契約を締結したと発表(右/伊藤園の公式サイトより)
《大谷翔平がスポンサー契約》「お〜いお茶」の段ボールが水原一平容疑者の自宅前にあった理由「水原は“大谷ブランド”を日常的に利用していた」
NEWSポストセブン
撮影現場で木村拓哉が声を上げた
木村拓哉、ドラマ撮影現場での緊迫事態 行ったり来たりしてスマホで撮影する若者集団に「どうかやめてほしい」と厳しく注意
女性セブン
5月場所
波乱の5月場所初日、向正面に「溜席の着物美人」の姿が! 本人が語った溜席の観戦マナー「正座で背筋を伸ばして見てもらいたい」
NEWSポストセブン
氷川きよしの白系私服姿
【全文公開】氷川きよし、“独立金3億円”の再出発「60才になってズンドコは歌いたくない」事務所と考え方にズレ 直撃には「話さないように言われてるの」
女性セブン
被害者の平澤俊乃さん、和久井学容疑者
《新宿タワマン刺殺》「シャンパン連発」上野のキャバクラで働いた被害女性、殺害の1か月前にSNSで意味深発言「今まで男もお金も私を幸せにしなかった」
NEWSポストセブン
広末涼子と鳥羽シェフ
【幸せオーラ満開の姿】広末涼子、交際は順調 鳥羽周作シェフの誕生日に子供たちと庶民派中華でパーティー
女性セブン