2006年には新宿区歌舞伎町のDVD販売店39店舗と倉庫を一斉摘発、一斉摘発数としては当時の過去最多、違法DVD販売は壊滅状態になったと発表された(時事通信フォト)

2006年には新宿区歌舞伎町のDVD販売店39店舗と倉庫を一斉摘発、一斉摘発数としては当時の過去最多、違法DVD販売は壊滅状態になったと発表された(時事通信フォト)

 高齢になればなるほど新しいテクノロジーを使いこなすのは難しくなり、慣れた環境を維持したがるものだ。そこに目をつけた一部の業者は、雑誌などに広告を出し「DVDとDVDデッキ」の抱き合わせ販売を十数年前から開始。デッキは、DVDを挿入しただけで自動的に再生される仕組みで、無駄なボタンや液晶画面などは一切ない。

「自宅のパソコンでも視聴可能ですが、再生方法がわからない、万一DVDが詰まったりして家族にバレたらどうしよう。そんな不安を抱く方々、主に高齢者に歓迎されました。部屋のテレビにさっと繋いでこっそり見る。路上でDVDを買う客層も似ていますが、通販だと足が付く可能性もある。やはり路上で買う方が良いのです」(書店スタッフ)

 冒頭で紹介した摘発事例で警視庁が「一掃した」と言っていたように、高齢者に歓迎されていたとはいえ、コロナ禍前には販売店も、キャッチの姿も見えなくなっていた。その後、コロナで自粛生活を強いらた人々からの需要が増えたというが、こっそり復活したキャッチや販売業者は、相変わらず路上に立ってはいるものの、摘発を恐れてかその営業スタイルには若干の変化が見られる。

 かつては、路上でキャッチの誘いに乗ると、マンションや雑居ビルの一室に設けられた店舗に案内されるのが常で、カタログなどを見ながら好みのDVDを選ぶ方式だった。もしくは、キャッチに好みを伝えて、オーダーに応じたDVDをキャッチが持ってくる、そんなケースもあったが、相場の激変によって案内やオススメの仕方が大きく変わった。

「以前はVHSテープ10本1万円などという価格設定でした。今では交渉次第でDVD20枚で5000円など、かなり安くなっているようですが、そのかわり客の好みは無視される。客引きのじいさんに捕まって『買う』というと、すぐに他の人間が紙袋などに入れたDVD20枚を持ってくる。枚数も多いし安いし、客も納得して持ち帰る」(書店スタッフ)

 このようにして販売されているDVDは、ほとんどが海賊版だ。一般に販売されている作品の違法ダビング、もしくは海外にサーバーを置く日本人向けの有料サイトにアップされていた映像をやはり勝手にダウンロードし、DVDに収録して販売している。DVD販売の仕組みを話してくれた書店スタッフは「安い」と言うが、そもそも制作費はタダ同然、権利者に報酬も払っていないのだから元手はほとんどかからないため、多少安く売ったとしても、ボロ儲けには変わらないのである。

関連キーワード

関連記事

トピックス

水卜麻美アナ
日テレ・水卜麻美アナ、ごぼう抜きの超スピード出世でも防げないフリー転身 年収2億円超えは確実、俳優夫とのすれ違いを回避できるメリットも
NEWSポストセブン
かつて問題になったジュキヤのYouTube(同氏チャンネルより。現在は削除)
《チャンネル全削除》登録者250万人のYouTuber・ジュキヤ、女児へのわいせつ表現など「性暴力をコンテンツ化」にGoogle日本法人が行なっていた「事前警告」
NEWSポストセブン
撮影現場で木村拓哉が声を上げた
木村拓哉、ドラマ撮影現場での緊迫事態 行ったり来たりしてスマホで撮影する若者集団に「どうかやめてほしい」と厳しく注意
女性セブン
5月13日、公職選挙法違反の疑いで家宅捜索を受けた黒川邦彦代表(45)と根本良輔幹事長(29)
《つばさの党にガサ入れ》「捕まらないでしょ」黒川敦彦代表らが CIA音頭に続き5股不倫ヤジ…活動家の「逮捕への覚悟」
NEWSポストセブン
5月場所
波乱の5月場所初日、向正面に「溜席の着物美人」の姿が! 本人が語った溜席の観戦マナー「正座で背筋を伸ばして見てもらいたい」
NEWSポストセブン
氷川きよしの白系私服姿
【全文公開】氷川きよし、“独立金3億円”の再出発「60才になってズンドコは歌いたくない」事務所と考え方にズレ 直撃には「話さないように言われてるの」
女性セブン
田中みな実、寝る前のスマホ断ちで「顔のエラの張り出しがなくなった」 睡眠の質が高まり歯ぎしりが軽減された可能性
田中みな実、寝る前のスマホ断ちで「顔のエラの張り出しがなくなった」 睡眠の質が高まり歯ぎしりが軽減された可能性
女性セブン
AKB48の元メンバー・篠田麻里子(ドラマ公式Xより)
【完全復帰へ一直線】不倫妻役の体当たり演技で話題の篠田麻里子 ベージュニットで登場した渋谷の夜
NEWSポストセブン
”うめつば”の愛称で親しまれた梅田直樹さん(41)と益若つばささん(38)
《益若つばさの元夫・梅田直樹の今》恋人とは「お別れしました」本人が語った新生活と「元妻との関係」
NEWSポストセブン
被害者の平澤俊乃さん、和久井学容疑者
《新宿タワマン刺殺》「シャンパン連発」上野のキャバクラで働いた被害女性、殺害の1か月前にSNSで意味深発言「今まで男もお金も私を幸せにしなかった」
NEWSポストセブン
広末涼子と鳥羽シェフ
【幸せオーラ満開の姿】広末涼子、交際は順調 鳥羽周作シェフの誕生日に子供たちと庶民派中華でパーティー
女性セブン
NHK次期エースの林田アナ。離婚していたことがわかった
《NHK林田アナの離婚真相》「1泊2980円のネカフェに寝泊まり」元旦那のあだ名は「社長」理想とはかけ離れた夫婦生活「同僚の言葉に涙」
NEWSポストセブン