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ステージIVのママ“その後の家族の物語” 成長する娘に父「いつか話さないと」

遺された娘にどう伝えるか…

育児に奮闘する日々

 ステージIVの大腸がんの闘病の末、2021年9月に24才で亡くなった遠藤和さん。彼女が娘のために綴った日記をまとめた『ママがもうこの世界にいなくても』が、2月期の『単行本・文芸書』のベストセラーランキング(2月8日トーハン調べ)で9位にランクインするなど、話題を呼んでいる。そこで、母の死から半年が経過した遠藤家を訪ねた。

 北海道出身で都内に勤務する遠藤将一さん(31才)は、1才半の娘を持つシングルファーザーとして、奮闘する毎日を送る。

 平日も休日も朝は早い。7時半にはおむつを交換し、朝食をつくる。

「今日は耳を切った食パン、ヨーグルトを30g、バナナとトマトを半分ずつ。娘はよく食べますね。ぼくと違ってぜんぜん好き嫌いはない。20分くらいでペロリです」(将一さん)

 7時45分から始まる『おかあさんといっしょ』(NHK Eテレ)を見たら、パジャマからお着替え。温かみのある黄色のチョッキや帽子は、2021年9月に亡くなった妻の遠藤和さん(享年24)が、入院中に1週間ほどかけて編んだものだ。

 和さんは青森県出身。2016年に将一さんと出会い、交際を始めた。和さんにステージIVの大腸がんが発覚したのは、互いに結婚を考え始めていた2018年の秋のことだった。

 がんが見つかる前から「子供がほしい」という強い希望があった和さんは、何度も将一さんと話し合いを重ねた。そして、結婚して子供を持とうとふたりで決意した。

 2019年12月に結婚し、2020年7月、27週で娘を出産。命がけのお産だった。和さんは、「娘に母である自分の姿を知ってほしい」という願いを込め、闘病と育児の日々を日記に綴っていた。

 その日記をまとめた『ママがもうこの世界にいなくても』が反響を呼んでいる。

「3年間、和は本当によく頑張ったと思います。娘が理解できる年頃になったら『あなたには、こんなにすごくて素敵なママがいたんだよ』と伝えたいです」(将一さん)

 生まれたときこそ980gの超低出生体重児だったものの、元気いっぱいに育っている。

 洗濯機を回し始めると、今度は絵本タイムが始まる。娘のお気に入りの『だるまさんが』や『おべんとうバス』は、和さんがしばしば読み聞かせていた作品だという。

「本当に、子供は怪獣というか……すぐに飽きてしまうので、工夫が大変です。今日も、ついさっき朝ご飯を食べたばかりなのに、もうお腹空いたって大騒ぎで(笑い)」(将一さん)

 おやつ代わりは、朝に切り落とした食パンの耳だ。

 元気だったら散歩を挟み、お昼ご飯。もし午前中に寝てしまったら散歩は午後に回す。

 柔らかいマットを敷いた部屋の中では、もう歩き回ることができる。公園ではまだ遊具の上に座るだけだが外靴デビューの日も近いだろう。

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