西郷さんや御三家は青春だった―

「御三家」と言われた西郷輝彦さん(左)、舟木一夫(中央)、橋幸夫(写真/女性セブン写真部)

 自らの闘病生活を発信し続けた西郷さんと同様に、芸能生活60周年を迎えてなお、デビュー当時と同じ熱気を持ってステージに立ち続ける舟木や、1年後に控える80才の誕生日を機に歌手としての活動を終え、時代劇やプロデュースに専念すると発表した橋の姿を「生涯のパートナー」として熱を込めて応援するファンは数え切れないほど存在する。

「常に自分の生き方を通じてファンを元気づけて、励まし続けることこそがアイドルの本質なのです。振り返ってみれば、御三家はその土台を築いた存在でした」

 西郷さんの常に周囲を元気づけようとする姿勢は、プライベートでもまったく変わらなかった。西郷さんと24年に及ぶ交流があり、ファンクラブの会報誌の編集も担当した放送作家の須田泰成さんは、気取らない西郷さんの周りには人が絶えなかったと振り返る。

「どんな仕事の現場でも、そこにいるいちばん若い人に寄り添うようなところがある人でした。ロケ現場で食事をするときも特別扱いを嫌がり、若いスタッフと同じ弁当や定食を、同じ部屋で食べながら楽しそうに雑談に興じていました。

 説教やマウントとは無縁の人で、自分が話すよりも人の話を聞く時間の方が長かった。若い人たちの悩みに真摯に耳を傾けて簡潔なアドバイスをした後、必ず『楽しんでやるのがいちばんだから!』と右手でサムズアップのポーズをする姿がすごくかっこよくて、目に焼きついています。芸能関係以外の友人も多く、若い頃に交友を始めた陶芸教室の先生とは半世紀近くの交流があるなど、人や縁を大切にする人でした」

 彼らが遺した青春のかけらが、今日もまばゆく輝き続けている。

※女性セブン2022年3月31日号

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