バイデン氏はどう動くのか(写真/AFP=時事)

プーチン氏を「戦争犯罪人」と非難したバイデン米大統領(写真/AFP=時事)

プーチン氏はブッシュ氏を見習った?

 実際、米国の思惑も恐ろしい。それが戦争を引き起こしたこともあるからだ。ブッシュ政権下の2003年、イラク戦争が開始された。9.11米同時多発テロで大勢の犠牲者が出た米国は、対テロ戦争に突入。イラクのフセイン政権が大量破壊兵器を所有しているとして、ブッシュ大統領はイラク戦争に踏み切った。

 フセイン政権は崩壊したが、大量破壊兵器は見つからず、民間人の犠牲者は10万人以上とも20万人以上とも伝えられている。一国のリーダーの政治的意図や思惑で、すさまじい数の犠牲者が出てしまうのだ。あの時、今のようにSNSが普及していたら、戦況は変わったのかもしれない。

 Newsweek日本版に、タレントのパックンによる「大義なき悲惨な戦争…プーチンは、ブッシュの『イラク戦争』を見習った?」と題した記事がある。彼は<相手国に妄想を抱き、もしくは妄想を国民に信じ込ませ、血みどろの結果を招いたウクライナ戦争とイラク戦争の共通点。世界にとっては悲劇的なデジャブだ>と書いている。その通りだと思う。思惑が妄想を生むこともある。

 バイデン大統領はプーチン氏を「戦争犯罪人」と呼び、「この男は権力の座に留まるべきではない」と批判した。「さすがに失言ではないか」と波紋を呼んだが、バイデン氏は謝罪も撤回もしなかった。ウクライナで行われている虐殺を見れば、その発言も道徳的、感情的には理解できる。だが、過激な発言は国民のロシアへの憎悪を強くさせてしまう懸念も残る。

 日本にいる我々は戦争の当事者ではないが、このような光景を目の当たりにすると、気付かないうちに少しずつ、人々がこの戦争に巻き込まれ始めているのではないかと怖くなる。

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