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若者をターゲットにした作品が多かった

若者の奮闘を描いた作品が話題に

 小説や漫画、アニメの世界でも同様のテーマが注目された。

「約800万部のベストセラーとなった『窓ぎわのトットちゃん』も、約300万部を売り上げた『積木くずし』も、個人を“枠”に無理やり押し込める、当時の教育の弊害を描いています。多くの若者が居場所のなさや大人への不信感を持っていたからこそ、これらの作品がヒットしたのでしょう」

 1982年は非行少年を矯正するという触れ込みで、行きすぎた体罰を行い4人の少年を死亡させた「戸塚ヨットスクール事件」が起こるなど、家庭内暴力や校内暴力が社会問題化した時代でもあった。

「そういった風潮もあってか、大人や社会、旧習に抗って生きようとする少年少女を描いた大友克洋のSFアクション漫画『AKIRA』や宮崎駿の『風の谷のナウシカ』が話題になり、その後、映画化もされました」

 アニメでも、女性の職業観などに踏み込んだ、『魔法のプリンセス ミンキーモモ』(テレビ東京系)が放送開始。魔法の力で大人に変身し、人々の夢を守るために活躍するストーリーだが、若者が夢と希望を持つことの大切さや、女性が活躍できる世界のすばらしさについて、暗に描かれていた。

「ドラマでは、耐え忍ぶ女性が頻繁に描かれましたが、漫画やアニメでは意志を持ち、行動する少年少女が活躍。次世代への希望が込められていたのではないでしょうか」

 その後、1986年に男女雇用機会均等法が施行されるなど、弱い立場とされた人たちの地位の向上が認められた。1982年のテレビや漫画・文学作品には、いち早く、そういった“声”が投影されていたといえる。

取材・文/前川亜紀、番匠郁  写真/高柳茂

※女性セブン2022年4月21日号

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