勝新太郎の逸話を語る芸能レポーター・東海林のり子氏

笑顔で語る東海林のり子氏

前田:一時期、アン・ルイスと吉川晃司が怪しいという噂があって、彼女の住むマンションの前で張り込んだ。見つからないように、いろいろ位置を変えて隠れたりしてさ。でも、一向に出てこない。すると、本人から電話が掛かってきて「いい加減にしなさい。上から全部見えてるんだから」と言われて。

東海林:漫画みたいな話ね(笑)。

前田:参ったよ。その後、ホテルのラウンジでお茶を飲んでいる吉川晃司を見つけたんだよ。他局はいなくて、独占ですよ。店から出てきたから直撃したの。「ヨシカワさん!」と声を掛けたら、「ヨシカワじゃねえよ、キッカワだよ!」と怒られて。人の名前も知らないバカなレポーターがここにいる(笑)。

東海林:あっはっはっ! どの局も独自のスクープを取ろうとしていたけど、なかには足並みを揃えたがる人もいたわね。トシちゃん(田原俊彦)が長女誕生会見を開いた時、お祝いの花束を持って行ったの。おめでたいことだから当然でしょ。そしたら、他局の女性レポーターに「え? 花束渡すの? あなたのところだけよ」って冷たく言われたの。

前田:「僕くらいビッグになると」という発言が話題になった時ね。

東海林:彼女たちは何度追い掛けても、トシちゃんの肉声が取れなかった。それでカリカリしていたんだと思うけど、今思い出しても頭に来る。

(第4回につづく)

【プロフィール】
東海林のり子(しょうじ・のりこ)/1934年生まれ。事件・芸能レポーター。立教大学卒業後、1957年ニッポン放送にアナウンサーとして入社。1970年退社後、『3時のあなた』『おはよう!ナイスデイ』(ともにフジテレビ系)などの番組でレポーターとして活躍。

前田忠明(まえだ・ただあき)/1941年生まれ。芸能レポーター。 明治大学卒業後、1970年光文社「女性自身」の記者として入社。1980年フジテレビと専属契約を結び、『おはよう!ナイスデイ』『TIME:3 タイムスリー』(ともにフジテレビ系)などの番組でレポーターとして活躍。

【聞き手・構成】
岡野誠(おかの・まこと)/1978年生まれ。ライター。著書に『田原俊彦論 芸能界アイドル戦記 1979-2018』(青弓社)がある。執筆記事〈検証 松木安太郎氏「いいボールだ!」は本当にいいボールか?〉が第26回『編集者が選ぶ雑誌ジャーナリズム賞』デジタル賞に。

※週刊ポスト2022年4月29日号

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