微笑む佐野さん(撮影/小倉雄一郎)

今ではすっかり元気になった佐野さん。退院までの様子を明るく語った(撮影/小倉雄一郎)

「多発性骨髄腫については良い薬ができ、治療法がある程度確立しているそうで、僕はその標準治療を受けたわけですが、そもそも体力があり、腎機能などが良くないとできないそうです。僕は若い頃から唐十郎さん主宰の『状況劇場』などで、一年中、芝居の稽古と本番の連続で声を出し体を動かしており、鍛えられていました。そもそもの体力、筋力はあったのでしょう。それでも、移植時は副作用で髪が抜け、アレルギーの副作用も出て、体重は7~8キロ落ち、とんでもなく苦しかったです。髪はようやく生えてきましたが(笑い)」

 12月26日に退院。その後は定期的に通院し、治療薬(分子標的薬)を服用している。経過は良好で2022年3月、ロックバンド「くるり」の楽曲「loveless」のミュージックビデオ出演で活動を再開した。

「骨が弱くなっていたので、あまり重い物を持ったり、高い所から飛び降りたりしてはいけない、など注意すべきことはありますが、発症時はまさか1年後に活動が再開できるなんて思っていませんでした。体力があったことや信頼できる主治医との出会いなど、幸運が重なったおかげで、順調にひとつひとつ乗り越えて、まずはここまでくることができました。

 多発性骨髄腫は完治は難しい病気。再発の恐怖はありますが、今は血液検査の値はまったく問題なく、限りなく再発のリスクは抑えられていると思います。今の良い状態をできるだけ長く維持したいですね」

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