これらは私塾ですから、もちろん学習指導要領のようなものはなく、広瀬淡窓、緒方洪庵、シーボルト、吉田松陰といった塾主・塾長の個性と独自の個別指導があり、それをぜひ学びたいという高い志をもった門下生たちが自発的に集まっていました。その結果、明治維新で近代日本をつくり上げた優秀な人材が、私塾から次々と輩出されていったのです。
21世紀に求められているのも、こうした「突出した個人」を生み出していくような教育です。繰り返しになりますが、それは学習指導要領や一条校(学校教育法第一条で規定)のような旧態依然とした教育制度とは対極にあるものです。
※大前研一『経済参謀 日本人の給料を上げる最後の処方箋』(小学館)より一部抜粋・再構成