医療脱毛の広告を見ると、「永久脱毛」などと掲げている場合があるが、これは施術すれば「もう生えない」という意味ではないのだろうか?
「永久脱毛の定義は『長期的に80%減毛すること』で、1本も生えなくなるという意味ではありません。通常3〜5回の施術で毛が細くなり、密度もまばらになります。色白で毛の色が黒く、生え方がまばらな方ほど少ない回数で済みます。ほとんど生えないようにするには6〜8回程度の施術が必要です」
一方、医療脱毛にかかる費用は、ワキ脱毛で1回5000〜6000円程度、腕全体で1回2万円程度のクリニックもある。前述のアンケートでも少数派であるとおり、高校生がバイト代やお小遣いをやりくりして医療脱毛を受けるのはハードルが高いだろう。脱毛が気になり始めた若い世代に増田さんがすすめるのは「セルフケア」だ。
「特に女性は、月経が始まる頃から体毛が濃くなってきます。(濃さの)個人差はありますが、脱毛が気になる年頃ですね。ただ、すぐに医療脱毛を検討するのではなく、まずはセルフケアできるカミソリやシェーバーなどで試してみるのも良いです。安全に使用できるものが各社から販売されています。
もし脱毛を検討するなら、少ない回数できちんと脱毛ができる医療機関を選ぶことをおすすめします。医師の管理のもと麻酔クリームが使えて、痛みを感じずに安心・安全な施術が受けられるからです。一方、脱毛サロンの場合は脱毛レーザーの照射エネルギーが弱いため、回数を重ねる必要があります。
きちんとしたクリニックでは、肌トラブルを抱えた人でも治療をすれば脱毛を行うことができる可能性があります。皮膚科の専門医がいるクリニックであれば、より安心して通えます。その分、費用は割高な傾向にはありますが、医療行為である以上、やけどなどのリスクを考えたらお金には代えられないのではないでしょうか」
高校生が頻繁に利用するSNSでは、「低価格で脱毛ができる」といった広告をよく目にする。飛びつきたくなる金額かもしれないが、増田さんが指摘する「安心・安全」面を慎重に考える必要がありそうだ。
【女性医療ジャーナリスト・増田美加さんプロフィール】
ますだ・みか/当事者視点に立った女性のヘルスケアや医療情報について執筆、講演を行う。雑誌等の連載のほかテレビ、ラジオにも出演。乳がんサバイバーでもあり、がんやがん検診の啓発活動を行う。『医者に手抜きされて死なないための 患者力』(講談社)、『女性ホルモンパワー』(だいわ文庫)、『もう我慢しない! おしもの悩み ~40代からの女の選択』(オークラ出版)、『婦人科がんサバイバーのヘルスケアガイドブック』一部執筆(日本婦人科腫瘍学会、日本産婦人科乳腺医学会、日本女性医学学会編集/診断と治療社)ほか著書多数。http://office-mikamasuda.com/
◆取材・文/吉田みく(ライター)