化粧品のキャンペーンソングでコラボレーションした忌野清志郎さんと坂本(1982年=共同通信社)

化粧品のキャンペーンソングでコラボレーションした忌野清志郎さんと坂本(1982年=共同通信社)

 昨年12月の手術後、新しく作った楽曲の披露の場に選んだのは、今年の3月、坂本が近年の活動のなかでもっとも力を入れている「東北ユースオーケストラ」のステージだった。自身が音楽監督を務め、東日本大震災の被災地の子供や若者で構成されるオーケストラだ。

 当時は12月の手術は公表していなかったが、術後わずか3か月での復帰。坂本は新曲『いま時間が傾いて』をオーケストラをバックにピアノで披露した。同公演には、親交の深い吉永小百合も出演し、東北にゆかりのある作家の詩を朗読。坂本の復帰に花を添えた。新たな楽曲の制作にも取り組んでいる。坂本の代表曲といえば『戦場のメリークリスマス』を思い浮かべる人も多いだろう。しかし、この楽曲が坂本を苦しめた過去がある。

「坂本さんは世界中どこに行っても、『戦メリ』を弾いてくれと言われることに嫌気がさして、コンサートで封印していた時期もあります。いつしか、『戦メリ』を超える曲を作ることが、坂本さんの目標になっていました」(前出・音楽関係者)

 だがその考えも、ここ数か月で変化しているようだ。今年3月、坂本は『家庭画報』のインタビューで《「『戦メリ』が一番よかったで終わりかよ」っていう、自分の中でそういう気持ちがある》と話している。しかし、4か月後の『新潮』の連載では、《「坂本龍一=『戦メリ』」のフレームを打ち破ることを終生の目標にしたくはない。そのゴールに向かって、残された時間を使うのはアホらしい》と綴った。

 代表曲にまでなった『戦メリ』だが、メロディーはわずか30秒程度で思いついたという。それゆえに、坂本は1分でも命が延びれば新たな曲が生まれるという考えを持っている。体調が優れずとも、たとえ短い時間でもピアノに向かうのはそうした理由もあるのかもしれない。

 実際『新潮』での連載を始めるにあたり、坂本は《せっかく生きながらえたのだから、敬愛するバッハやドビュッシーのように最後の瞬間まで音楽を作れたらと願っています》とコメントした。がんと闘うのではなく、がんとともに生きる──坂本は人生の集大成のときをどう迎えるのか。

※女性セブン2022年6月30日号

1982年に坂本と結婚した矢野

1982年に坂本と結婚した矢野(公式HPより)

関連キーワード

関連記事

トピックス

中村芝翫と三田寛子(インスタグラムより)
《三田寛子が中村芝翫の愛人との“半同棲先”に突入》「もっとしっかりしなさいよ!」修羅場に響いた妻の怒声、4度目不倫に“仏の顔も3度まで”
NEWSポストセブン
中村七之助の熱愛が発覚
【独占スクープ】中村七之助が京都のナンバーワン芸妓と熱愛、家族公認の仲 本人は「芸達者ですし、真面目なかた」と認める
女性セブン
小池百合子氏と蓮舫氏の因縁や共通点は
小池百合子氏と蓮舫氏“因縁の2人” 発言、幼少期、学生時代、キャスター、ファッション、愛犬、推しキャラで比較「7番勝負」
女性セブン
都内の住宅街を歩くもたいまさこ
《もたいまさこ、表舞台から姿を消して3年》盟友・小林聡美は「普通にしてらっしゃいます」それでも心配される“意欲の低下”と“健康不安”
NEWSポストセブン
田村瑠奈被告
【戦慄の寝室】瑠奈被告(30)は「目玉入りのガラス瓶、見て!」と母の寝床近くに置き…「頭部からくり抜かれた眼球」浩子被告は耐えられず ススキノ事件初公判
NEWSポストセブン
反自民、非小池都政の姿勢を掲げている
《一時は母子絶縁》都知事選出馬・蓮舫氏、長男が元自民議員との養子縁組解消&アイドルを引退していた
女性セブン
日本アカデミー女優のもたいまさこ
《人気女優・もたいまさこの現在》ドラマ『やっぱり猫が好き』から36年、目撃した激やせ姿「出演予定の作品なし」の引退危機
NEWSポストセブン
日本中を震撼させた事件の初公判が行われた
【絶望の浴室】瑠奈被告(30)が「おじさんの頭持って帰ってきた」…頭部を見た母は「この世の地獄がここにある」 ススキノ事件初公判
NEWSポストセブン
ギリシャ訪問を無事終えられた佳子さま(時事通信フォト)
佳子さま、ギリシャ訪問時のファッション報道がフィーバー「北風と太陽」注目されるプリンセスの動向
NEWSポストセブン
北朝鮮から韓国へ飛ばされた汚物風船(時事通信フォト/韓国軍提供)
【愛ならぬゴミの不時着】「人糞はゴミではないので飛ばさないのが今の北朝鮮」 過去には韓国が薄いパンストを……3500個の汚物風船が飛ぶ軍事境界線の空
NEWSポストセブン
容疑者
《ススキノ・ホテル殺人》初公判で判明した「瑠奈ファースト」な一家の歪み「母親が書いた奴隷誓約書」「父親はドライバーさん」
NEWSポストセブン
大谷翔平の最新ヘアスタイル
【爽やか新ヘアの裏側】大谷翔平をカットしたのは“美容師界の東大”有名サロンの海外1号店だった 真美子夫人と一緒に“ヘアカットデート”
女性セブン