田中邸前でロッキード事件で再釈放された角栄を待つ橋本龍太郎氏ら「田中軍団」(写真/共同通信社)

田中邸前でロッキード事件で再釈放された田中角栄氏を待つ橋本龍太郎氏ら「田中軍団」(写真/共同通信社)

 尋常小学校卒で総理に上り詰めた叩き上げ。そんな角栄の人柄を示すエピソードには事欠かない。

「田中さんは派閥の人間とゴルフをする時、2人で回るんです。プレイ中に『あの省の次の事務次官は誰になるんだろうか』と情報を集めたり、社会問題についての意見を求めたりする。マンツーマンで付き合うことで田中さんとの関係が深まって、ますます彼に魅了される。それが田中軍団の原動力でした」(藤井氏)

 金権体質が指摘される角栄には「札びらで頬を叩く」との批判もあった。だが中村氏は、「それでは人の気持ちはついてきません」と指摘する。

「例えば盆暮れにお金を渡す時、ポーンと机の上に置かれたら誰でもムッとします。でも田中さんは、決して少ない額ではないのに、『本当に少なくて申し訳ない。わずかな分だけど』と最敬礼して相手に渡していた。これが効くんですよ。

 選挙応援で地方に行けば、その地域の代議士の運転手にも『今日はありがとう』と心づけを渡し、料理屋では下足番や仲居にまで心づけを渡していた。人の下で働く下積みの心を理解するからこそ、みんなが田中ファンになる。これはお金ではなく気持ちの問題です」

(第2回につづく)

※週刊ポスト2022年7月8・15日号

関連キーワード

関連記事

トピックス

NHK次期エースの林田アナ。離婚していたことがわかった
《NHK林田アナの離婚真相》「1泊2980円のネカフェに寝泊まり」元旦那のあだ名は「社長」理想とはかけ離れた夫婦生活「同僚の言葉に涙」
NEWSポストセブン
被害者の平澤俊乃さん、和久井学容疑者
《新宿タワマン刺殺》「シャンパン連発」上野のキャバクラで働いた被害女性、殺害の1か月前にSNSで意味深発言「今まで男もお金も私を幸せにしなかった」
NEWSポストセブン
米国の大手法律事務所に勤務する小室圭氏
【突然の変節】小室圭さん、これまで拒んでいた記念撮影を「OKだよ」 日本人コミュニティーと距離を縮め始めた理由
女性セブン
大谷翔平の妻・真美子さんを待つ“奥さま会”の習わし 食事会では“最も年俸が高い選手の妻”が全額支払い、夫の活躍による厳しいマウンティングも
大谷翔平の妻・真美子さんを待つ“奥さま会”の習わし 食事会では“最も年俸が高い選手の妻”が全額支払い、夫の活躍による厳しいマウンティングも
女性セブン
公式X(旧Twitter)アカウントを開設した氷川きよし(インスタグラムより)
《再始動》事務所独立の氷川きよしが公式Xアカウントを開設 芸名は継続の裏で手放した「過去」
NEWSポストセブン
現役を引退した宇野昌磨、今年1月に現役引退した本田真凜(時事通信フォト)
《電撃引退のフィギュア宇野昌磨》本田真凜との結婚より優先した「2年後の人生設計」設立した個人事務所が定めた意外な方針
NEWSポストセブン
広末涼子と鳥羽シェフ
【幸せオーラ満開の姿】広末涼子、交際は順調 鳥羽周作シェフの誕生日に子供たちと庶民派中華でパーティー
女性セブン
林田理沙アナ。離婚していたことがわかった(NHK公式HPより)
「ホテルやネカフェを転々」NHK・林田理沙アナ、一般男性と離婚していた「局内でも心配の声あがる」
NEWSポストセブン
中森明菜復活までの軌跡を辿る
【復活までの2392日】中森明菜の初代音楽ディレクターが語る『少女A』誕生秘話「彼女の歌で背筋に電流が走るのを感じた」
週刊ポスト
世紀の婚約発表会見は東京プリンスホテルで行われた
山口百恵さんが結婚時に意見を求めた“思い出の神社”が売りに出されていた、コロナ禍で参拝客激減 アン・ルイスの紹介でキャンディーズも解散前に相談
女性セブン
真美子夫人は「エリー・タハリ」のスーツを着用
大谷翔平、チャリティーイベントでのファッションが物議 オーバーサイズのスーツ着用で評価は散々、“ダサい”イメージ定着の危機
女性セブン
猛追するブチギレ男性店員を止める女性スタッフ
《逆カスハラ》「おい、表出ろ!」マクドナルド柏店のブチギレ男性店員はマネージャー「ヤバいのがいると言われていた」騒動の一部始終
NEWSポストセブン