自分の成人式の写真をみずからアップするのが、毎年の恒例だった(田中聖公式Twitterより)

自分の成人式の写真をみずからアップするのが、毎年の恒例だった(田中聖公式Twitterより)

 五人兄弟(聖さんは次男)なので「弟」というだけで誰が誰かはわからなかったと話すが、いずれにせよ弟にとっての聖さんは「かっこいいジャニーズのお兄ちゃん」で自慢の兄だったに違いない。この一連の彼の話は先にも書いた通り2020年ごろに得られた話。聖さんはKAT―TUNをすでに脱退、バンド活動をする中で大麻取締法違反容疑で現行犯逮捕(不起訴)されて数年経ったころだった。

「コロナで前みたいな活動は難しいけど、また柏のライブハウスで見たいですね」

 大麻騒動でバンドは解散したが、聖さんは2017年の大晦日に歌手活動を復活させた。その地に選んだのもやはり地元柏のライブハウス「柏PALOOZA」、聖さんは本当に柏を本当に愛していたのだなと思う。地元を盛り上げるための活動も続けた。

 だが、以前から地元関係者の話として「急に笑い出す」「汗かきすぎ」と聞いた。これまたたわいもない話だったが、「止めてないのでは」と思った。考え過ぎとも思ったが、案の定だった。

 聖さんは2022年2月24日、名古屋市内のホテルで、覚醒剤取締法違反容疑で逮捕される。3月ごろ、これも別の取材の際に聖さんのことを聞いた。聞いた相手は伏せるが、柏のいわゆる「やんちゃ」な連中に関わる30代自営業の男性である。

「ずっと(クスリは)止められなかった。長いよ。もっと早いうちに痛い目を見ておけばとも思うけど、スターだからね」

 手厳しい言い方だが愛がある。裁判で聖さんのご両親は家族でサポートする約束をした。本人も反省の弁を繰り返した。

「でもね、いくら親が厳しくしたって、柏に帰ってくればみんなちやほやしてくれるし甘いんだよ」

 柏といえば熱烈なサポーターで知られるサッカーJリーグの「柏レイソル」もそうだが地元愛が強い。東葛地域のみんなが「とりあえず柏」というほどに柏を愛している。だからというわけでもないが、元々「やんちゃ」には甘い傾向がある。昔は警察(千葉県警)すら甘くて暴走族にすら甘かった。徹底した管理教育下の東葛地域において若者の「自由」が柏にあった。柏周辺で1980年代、1990年代の幼少期、青春を過ごした若者たちの土壌でもある。柏、とくに柏駅周辺は単なる繁華街、地方都市というだけでない独特の文化を形成した。それもまた、聖さんの音楽的才能やカリスマ性も育んだに違いない。

「35歳なんだからさ、自覚しなきゃだめよだよ。顔はいいんだからさ」

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