エボラウイルスが棲む密林で野生動物を狩猟して、その肉や皮を売ることで生計を立てている貧しい村。そこで無償の病院にあふれる人々。医療品の補給もままならない中で病院を運営する修道会。エボラ出血熱の流行の背景には貧困がありました。
そして、近年、この密林地帯の風土病であったエボラが、アフリカの都市で流行するようになっています。ウイルスは人の社会環境の変化で、流行する場所も規模も変えるのです。エボラウイルスとの距離が縮まったようで怖くなります。
イラスト/斉藤ヨーコ
【プロフィール】
岡田晴恵(おかだ・はるえ)/共立薬科大学大学院を修了後、順天堂大学にて医学博士を取得。国立感染症研究所などを経て、現在は白鴎大学教授。専門は感染免疫学、公衆衛生学。
※週刊ポスト2022年7月22日号