そうした中で2012年に第2次安倍政権が発足すると、安倍首相は翌年、「特定秘密保護法」を強引に成立させた。
「統一教会と勝共連合は長年『スパイ防止法』の制定を訴えてきたことから、それを特定秘密保護法として成立させた安倍政権は強いシンパシーを感じさせた。そこで自分たちの存在意義を示すために、安倍政権を支持したということでしょう。統一教会は、日本は韓国に仕える存在だという考え方ですから、嫌韓志向のネット右翼とは相容れないが、家族観などで合致点を見出した。一方、安倍氏や自民党にとっても統一教会・勝共連合の支持は選挙の票につながるから都合がいい。お互いを利用し合う新たな関係が構築された」(同前)
安倍派の福田達夫・総務会長は「党が団体から影響を受けて政治を動かしたことは一切ない」と話したが、果たして本当にそう言い切れるのか。
安倍氏を熱烈に支持する2世信者と、安倍氏に憎悪の目を向けた山上容疑者。そのどちらもを理解しなければ、事件の深層は見えてこない。
※週刊ポスト2022年8月19・26日号