さらに、睡眠不足は砂糖依存を招く原因になるという。
「睡眠不足は太りやすいといわれますが、これは医学的に立証されたこと。夜遅くまで起きていてお腹が空いたり、甘い物が食べたくなるのは、睡眠時間が少なくなることで食欲抑制のホルモンが減少するから。このホルモンの代わりに『グレリン』という食欲増進ホルモンが分泌され、深夜にお腹が空いて食べてしまう。
また、夜寝る前に甘い物を食べると血糖値の乱高下が起きて、自律神経が乱れてしまい、睡眠の質も悪くなる。そして眠れなくなり、また何かを食べる。この悪循環を繰り返すことになってしまうのです」
夜中に甘い物が食べたくなった場合は、睡眠から改善を。
市販のスポーツドリンクにも砂糖がいっぱい
WHO(世界保健機関)が望ましいとしている砂糖の摂取量は1日25g。これは、角砂糖6個強程度だ。
「私たちが何気なく口にしている食品にも砂糖はふんだんに使われています。菓子パンを1つ食べるだけで、1日の摂取量を軽くオーバーしてしまうんです」(市原さん)
意外な落とし穴は“健康にいい”と思われるものにも砂糖がたくさん使われているという事実だ。
「特に今年のように暑い夏は、脱水を防ぐためにスポーツドリンクや経口補水液を飲まれるかたが多いと思いますが、500mlのスポーツドリンクには、角砂糖7個分の糖質が含まれています。脱水を防ぐには、水かお茶で充分。必要以上にスポーツドリンクを飲むのは控えた方がいいでしょう」(飯塚さん・以下同)
“健康にいいもの”にも砂糖が使われている
炭酸飲料などの甘いジュースやケーキ、和菓子などに、砂糖がたっぷり含まれているのは想像に難くないが、健康にいいと思って食べているものにも、砂糖はふんだんに含まれる。
その代表格がヨーグルトだ。2018年に行われたイギリスのリーズ大学主導の調査によると、イギリスのスーパーマーケットで売られているヨーグルト、約900点のほとんどに砂糖が入っており、中には100gあたりの糖分が甘い炭酸飲料よりも多いものもあったという。
また意外なのが、手軽に飲める乳酸菌飲料だ。主に、スーパーなどで売られている65ml入りの乳酸菌飲料にはなんと角砂糖2.9個分の糖質が含まれている。
「腸内環境を整える、ストレス緩和、睡眠の質を高めるといった機能性から夜に乳酸菌飲料を飲む人が増えていますが、その影響から、余計に疲れやすくなった、悪夢を見るようになったと訴える患者さんが私のところにもたくさん来ています。
最初は寝つきがよくなったように感じても、それは低血糖によって興奮が一時的におさまっただけ。すぐにインスリンが大量に分泌され、睡眠中に低血糖による交感神経の興奮を起こしてしまい、それで悪夢を見たり、余計に疲労を覚えるようになるのです」
健康のためによかれと思っていることが逆に仇となっていることを知っておこう。