『○○総選挙』のルーツはどこか
ランキングをベースにした番組と言えば、40代以上の人は、『ザ・ベストテン』(TBS系)や『ザ・トップテン』(日本テレビ系)を思い浮かべる人が多いのではないでしょうか。あるいはもう少し若い人は『COUNT DOWN TV』(TBS系)かもしれません。たとえば『ザ・ベストテン』は、レコード売上、有線放送リクエスト、ラジオチャート、番組に寄せられた葉書リクエストの総合ランキングであり、『○○総選挙』を彷彿させるスケール感がありました。
もともとテレビ業界では、「日本人はランキング好き」が定説であり、それを娯楽として楽しむ文化が、昭和、平成、令和の今なお続いています。たとえば、『出没!アド街ック天国』(テレビ東京系)や『帰れま10』(テレビ朝日系)などは現在も放送されていますし、朝昼の情報番組でも各種ランキングは定番コーナーの1つ。また、かつては『ランク王国』(TBS系)、『ザ・ベストハウス123』(フジテレビ系)などもありました。
『○○総選挙』に話を戻すと、同特番を放送しているテレビ朝日は、1989年から1996年まで『はなきんデータランド』というランキング番組を放送。さらに、2002年にも『決定!これが日本のベスト100』(テレビ朝日系)というランキング番組も放送していました。これらは週替わりのテーマをランキングで紹介していく番組でしたが、後者のMCは『○○総選挙』と同じ爆笑問題が務めていました。つまり『○○総選挙』のルーツはこのあたりにありそうです。
テレビ朝日はその後2009年にも、深夜の帯番組『お願い!ランキング』をスタート。番組内で『○○総選挙』のコーナーがはじまったものの、深夜帯の放送だけあって現在のようなスケール感はありませんでした。
むしろ、10代に聞いた『好きな文房具総選挙』や『本当に美味しいカップ麺総選挙』、『2.5次元俳優総選挙』『競馬名レース総選挙』『ホントにスゴイと思うキャバクラ嬢総選挙』など、ディープな世界観のランキングが扱われていたのです。また、『イケア総選挙』『無印良品総選挙』など特定企業とのコラボも多く、収益化も含め、ランキング番組の汎用性を見せて業界内を驚かせました。
現在の『○○総選挙』は『お願い!ランキング』時代の同企画をスケールアップさせたものであり、「国民がガチ投票!」という本来の総選挙に近いコンセプトで放送。個人の趣味嗜好が多様化し、自分の好きなものを自由にアピールできる時代になったほか、ランキングをネタにSNSで盛り上がってもらえるなど、現在の視聴者感情にフィットするものとして続いています。