職場におけるパワハラの防止措置を企業に義務付ける労働施策総合推進法などが可決、成立し、一礼する根本匠厚生労働相(手前)。2019年05月29日(時事通信フォト)

職場におけるパワハラの防止措置を企業に義務付ける労働施策総合推進法などが可決、成立し、一礼する根本匠厚生労働相(手前)。2019年05月29日(時事通信フォト)

 それから20年以上経ったある日、同窓会が開かれた。

「自分が何をやっていたか、級友はみんな知っていたから”ヤクザやってます”と自己紹介した。先生にも『何やってるの』と聞かれ、『先生の予想通りですよ』と答えると、『人生、棒に振らないようにね』と。『もう振っちゃってますよ。振りっぱなしです』と言ったら、苦笑いされた」と幹部は楽しそうに語った。

 帰り際、幹部は先生から封筒を手渡された。

「こんなに遅くなってしまったけど」

 入っていたのは、色褪せた麻雀パイのキーホルダー、持ち物検査で没収されたものだった。

「人の情を感じられるような経験がないヤツには、ヤクザの我慢は耐えられないかもしれない。昔は親が学校に呼び出しをくらったが、今は親がクレームをつける。会社でも上司が部下に気を遣う、言葉を選ぶ時代。世間はまるで正反対になったが、ヤクザの世界は今も昔も変わらない」(幹部)

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