18才で上京してからも、いろんなタイプの酒癖を見た。トイレからイチモツを出しながら普通の顔をして出てきた上司とか、出版社のアルバイトの私の酒の席のちょっとした一言に「てめえなんかもう明日から職場に来なくていい!」と怒鳴った先輩とか。
でも、職場の方はいいのよ。次の日、シラフになった上司に「昨夜は大変お世話になりました」とバカ丁寧にご挨拶に行けば、「お、あ、まぁ、また、よろしくな」とシドロモドロだもの。その顔を見たら水に流せたけど、問題は身内。
酒癖の悪い家族の相手ほど虚しいものはない。翌日、何も覚えていないことにして謝りもしない。こっちが「昨夜のことだけど」とでも言おうものなら、「いつまでもグチグチ言ってんじゃね」と逆ギレされるんだから。
それにしても香川さんだけどね。アルコールで失うものが多すぎたわ。こうなる前にどうにかならなかったのか。てか、酔った自分の姿を動画で見て、俳優が自分の演技をチェックするのと同じく、厳しい目で自身の姿も見ていたら、こんなことにはならなかった?
いやいや、わかっちゃいてもやめられないのが依存症。ギャンブル依存症でにっちもさっちもいかなかった過去のある私は、ちょっとだけこっそり彼に同情している。
もしかしてご本人は、行くところまで行きついてホッとしているのかも。
【プロフィール】
「オバ記者」こと野原広子/1957年、茨城県生まれ。空中ブランコ、富士登山など、体験取材を得意とする。
※女性セブン2022年9月22日号