“金庫番秘書”の名前が
その後も、教団関係者は川崎市をはじめ神奈川県内の各市議会などに「家庭教育支援法の制定を求める意見書」を国に出すように陳情を行ない、川崎市議会では2018年に同意見書を可決するなど成果をあげていく。
ところが、『週刊ポスト』がこの日の政調勉強会に参加した複数の市議に取材すると、いずれも「講師が旧統一教会の関係者とは知らなかった」と口を揃えるのである。
では、誰が講師を選んだのか。前出の矢沢市議が語る。
「誰が呼んだのかは全然わからないが、政調の正式な勉強会なので川崎市連が講師をアレンジしたのは間違いないでしょう。政調会長とか、市連の幹部の方々の話し合いでいろんな先生方を講師に呼んでいたと思う」
この日の勉強会に川崎市連会長の山際氏は出席していなかったようだが、参加した林浩美・市議(当時)のSNSに出席者としてタグ付け(名前のリンクを掲載すること)された一覧のなかには、山際氏の資金管理団体の会計責任者を務める“金庫番秘書”A氏の名前があった。
市連勉強会での教団幹部の講演に山際氏の秘書が“代理出席”していたことになる。
山際氏に経緯を聞いた。事務所回答だ。
「川崎市連政調勉強会には、山際事務所からも秘書が何度か出席していますが、A(秘書。回答は実名)に確認したところ、ご指摘の回には出席していないと申しています。勉強会は川崎市議が運営を行なっており、山際及び山際事務所は講師の人選等には関与していない」
川崎市支部連合会にもA氏の出席の有無や講師の選定について聞いたが、「川崎市支部連合会において各界の方をお招きした勉強会をすることはあります。ご質問の頃の資料は、残っていないため確認できません」とのことだった。
そこで『週刊ポスト』がSNSにA氏の名を載せた林氏に改めて確認すると、「6年前の会合なので今では記憶は鮮明ではないが、当時、出席が確認できた人の名前をSNSに載せたことは間違いありません。そうでなければ失礼になりますから」と証言した。
山際事務所に再度聞いたところ、改めて「Aは参加していない」とした上で、「川崎市支部連合会に確認したところ、出席する旨の連絡をしていたようですが、事務局も当日会には参加しておらず、Aが出席したかは確認できない。また、当日欠席された方で林元市議のフェイスブックにタグ付けされた方もいらっしゃいます」と回答した。