本末転倒の接遇費削減
国葬によって生じた逸失利益もあった。国葬当日の交通規制で首都高は都心部で9時間にわたって通行止め。交通量が減り、料金収入が大幅減収になったのは間違いない。その補償はなされたのか。
「交通規制は警察が実施したものです。本件に限らず、これまでも警察による交通規制を行なう際、補填を受けたことはありません」(首都高広報課)
政府は外国要人の接遇費も当初の見積もりより9000万円削減できたと威張っているが、それこそ本末転倒だろう。政治ジャーナリスト・藤本順一氏の指摘は正鵠を射ている。
「岸田文雄首相は安倍氏を国葬にする理由の一つに『弔問外交』をあげていた。結果はカナダのトルドー首相にドタキャンされて現職G7の首脳は1人も参列しなかった。しかも、首脳会談の時間は1か国15分だったから挨拶くらいしかできない。接遇費が減ったのは、弔問外交が期待した効果をあげられなかったということ。むしろ、こんな弔問外交のために5億円もかけたことが問われるべきです」
“岸田首相のための安倍国葬”は、岸田政権の“寿命”を確実に縮めることになった。
※週刊ポスト2022年11月4日号