その際に基準になるのは「学歴」よりも、自分が患っている病気に関して「執刀数」がどれだけあるか、です。

 患者さんが多いということは、それだけ経験があるので手術の成功率が高まるし、「まだ切らなくてもいい」のに無理矢理手術を勧められる心配もしなくて済みます。

 患者さんにとって余計な手術を受けることは、手術そのもののリスクもあるし、手術によってはその後のQOL(生活の質)が下がることもある。身体にメスを入れなくて済むならしないほうがいいに決まっています。

「まだ切らなくていい」手術までやりたがるのは、病院にとって手術が経営上の大きな利益であるからです。執刀数が少ない病院に飛び込むと、経営のために利用される可能性があるので要注意です。

 ただ、病院によっては“数字のマジック”を使うところもあるのでさらに注意が必要です。

 執刀数を見る時は、必ず「自分の病気」の執刀数を見てください。パッと見て執刀数が多そうに見えても、実はそこまでではなかったというケースもあります。

 ある有名大学病院では、あらゆるジャンルの手術を揃える代わりに「選択と集中」ができないので、がん研などに比べると、特定の部位のがんに関しては医師の数も少なく、手術のレベルもグッと下がる実態があります。

 医師へ思いを伝えることも大事です。患者さんが信じている情報を、医師が否定しづらい面があるのも事実。特に高度先進医療を受けるために紹介しようとする場合、患者さんが持つ情報に合わせると、医師がベストだと判断する方法と齟齬が生じる場合があります。

 そうしたケースでは、患者さんの「満足度」を重視して、医師が自らの判断を引っ込めてしまうことも多いと思います。患者さんとしては、「先生の家族ならどうしますか」と聞くと良いでしょう。より良い選択肢が見つかるかもしれません。

※週刊ポスト2022年11月4日号

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