現在は週に一度のペースでヨガと詩吟を学んでいる。
「どちらも、体にも心にも効いて、一挙両得です。
ヨガは、リンパや血液の流れがよくなり、筋肉も柔軟になる。『50を過ぎたらTシャツは似合わない』なんていわれますが、ヨガのおかげで何とか着られています。
そして、ヨガには心を落ち着かせ、強くする働きもある。10回に1回くらいですが、ヨガを終えた脱力感の中で、ふと、これまでより一段階深い感覚や気づきを得ることもあります。
一方、詩吟は、背筋を伸ばし、ふだん自分が声を出すのとは違う部分を使って声を出すのが爽快です。そして何より1300年も前に李白や杜甫が書いた詩に触れることで、その時代にタイムトラベルできる内面的な面白さもあります」
5才から読書にハマり続け、高校時代には文芸部の部長を務めながら早熟な私小説を執筆していた秋吉。その後も、40才でアメリカのアートスクールに留学、53才で早稲田大学の大学院に入学して公共経営を学ぶなど、好奇心・知識欲は枯れることがない。
「来世は動物学者になって、ジープでライオンを追いかける人生にも憧れるし、子供の頃は化石掘りが好きだったので、考古学者もいいかなあ。生まれ変わった人生を想像するだけで楽しくなってきます(笑い)」
料理同様、旺盛なひらめきと飽くなき探究心が、きっと彼女の原動力だ。
【プロフィール】
秋吉久美子/1954年静岡県生まれ、福島県育ち。1972年の映画デビュー後、『赤ちょうちん』『妹』『バージンブルース』と立て続けに主演し、時代の寵児となる。現在まで多くの映画やドラマ、バラエティー番組で活躍。早稲田大学政治経済学術院公共経営研究科修了。特技は時短料理。趣味は読書、詩吟、書、ヨガ。共著に『秋吉久美子 調書』(筑摩書房)がある。
取材・文/佐藤有栄
※女性セブン2022年11月10・17日号