野村萬斎(時事通信フォト)

野村萬斎(時事通信フォト)

 今川義元は、大河ドラマでは『功名が辻』江守徹、『武田信玄』中村勘九郎(中村勘三郎)、フジテレビの『女信長』では三谷幸喜『信長協奏曲』で生瀬勝久、近年では『桶狭間~織田信長 覇王の誕生』の三上博史など名優が演じてきたが、その外見は白塗りの公家風メイクで、デラックスな輿に乗って桶狭間に乗り込んでくる。

 大軍の力で勝利は間違いなしとへらへら宴会など開いて浮かれていたところを信長に急襲され、おろおろとみっともなく逃げ惑い、討ち果たされるというのがパターンだった。異色だったのは、大河ドラマ『おんな城主直虎』の義元(春風亭昇太)。マントのような白い羽織、黒丸のような眉毛、唇まで真っ白。無言で手を挙げるだけで家臣が動くというアンドロイドのような不気味な印象だった。

『どうする家康』の義元は、洗練された教養人、一流の武将だった。出陣前の舞は、野村萬斎義元でしかできない、神々しさと迫力があった。伝説では、義元は桶狭間では自ら太刀を手に奮戦、敵方の指を食いちぎったなどと激しい話も残る。義元の脇差は「左文字」という名刀で後に信長から秀吉、家康と天下人の手に受け継がれている。

 勤勉なしっかり若殿と描かれてきた家康は、へたれ小僧。とほほ大将と思われてきた義元は、強き殿。イメージ逆転ではじまった『どうする家康』で、さらなる“逆転”が起きるか、注目だ。

映画、ドラマと八面六臂の活躍を見せた1年だった(時事通信フォト)

有村架純は瀬名姫として出演(時事通信フォト)

有村架純

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