──そんな今作も46作品目です。CDデビューから25年、仕事の向き合い方は変わりましたか?
「昔は忙しすぎて自分とすら向き合えなかったし、だから当然人とも向き合えないし、目の前のことをただただこなすような時代でした。そのうち人に頼むより自分がやった方が早いっていう時代もあって。さらにそれも経てくると、周りの頑張りがあるから物事は進んでいくってことを痛感するんです。たとえお願いしたことと違う答えが返ってきても、自分と違うセンスを知るチャンスだ!って思えるようになりました。自分1つの脳を使うより、何人もの脳を利用した方が想像もできなかったことが生まれていきますから」
──そう思えるようになったきっかけは?
「ずっとやっている舞台『SHOCK』(2000年~)から学ぶことも大きかったですし、やっぱりジャニーさんが亡くなったことも大きかったですよね。自分ひとりの責任を負うのだって大変なのに、ジャニーさんは何百人といるタレントとスタッフすべての責任を背負っていたのだから、とてつもないことです。ぼくもこれまで『ジャニーさんが言ったんだよこれ! ジャニーさんのせいだ!』ってふざけて言ったこともありましたけど(笑い)、いまは自分が責任を取るしかなくなっちゃいました。映像、美術、技術、照明、たくさんのセクションとの打ち合わせもありますし、何かあれば『光一くんが言ったんだからね』って言われます。『言ったわ、ごめん』とか『言った?おれ』と言いながらやっていますけどね(笑い)」
──最後に、2023年はどういう年にしたいですか?
「あんまり区切って生きていないタイプの人間なので、今年は特別何っていうのはないんですけど、強いて言えば、『幸せに生きること』かな。いまも幸せですけど。
ぼくらの仕事って、医者のように人の命を救うこともできないし、ライフラインみたいな社会の役に立っているものでもないんです。正直言って、生きるためにはいらない仕事なんですよ。でもだからこそ、心に訴えられる無限の可能性を秘めているし、奇跡を起こすこともあるんですよね。KinKi Kidsに、光一くんに命を救われましたみたいな声を聞くと、ほんとかよ!? って思っちゃったりもするんです(笑い)。そういう奇跡をたまに体験させてもらえることが面白い。自分がこの仕事を続ける原動力になっているんです」
(堂本剛のインタビューはこちら )
※女性セブン2023年2月9日号