当時、年金財源などをめぐって増税案が浮上する中、内閣参事官だった高橋氏は国の特別会計に巨額の埋蔵金があることを指摘。
「消費税は上げない」と表明した小泉純一郎・首相(当時)は各省庁に特別会計ごとの財源調査を指示して特会全体で約46兆円の資産超過、つまり埋蔵金が眠っていることが判明したのだ。そのうち13.8兆円を活用して2006年度予算に組み込んだ。
現在、自民党には防衛財源をめぐって「増税以外の財源確保策を検討する特命委員会」が設置され、増税反対派が高橋理論をもとに国債償還ルールの見直しを主張しているが、政府は「財政に対する市場の信認を損ねかねない」(松野博一・官房長官)と埋蔵金を使うことに消極的だ。
岸田首相が小泉政権の時のように政府をあげて埋蔵金発掘に乗り出せば、防衛増税だけではなく、少子化増税も必要はなくなる。
(後編につづく)
※週刊ポスト2023年2月10・17日号