「調査をしていると保育園サイドは口にしますが、12月20日の保護者会では世田谷区が指摘以外にも多くの事例があるにもかかわらず虐待の被害者が何人いてどのような内容だったのかを明らかにしてくれませんでした。もし自分の子どもが虐待されていたらと思うととても怖い。また世田谷区側も問題がわかっているのに公表せず、内々の通知だけで済ませてしまっているように感じます。事件を矮小化しようとしているのではないか、という疑問を感じるのです。虐待に遭っていた園児のなかには3月に卒園する子どもも多い。このまま卒園させて有耶無耶にしてしまうのではないかという不信感が保護者のなかでは渦巻いています」(同前)
ぶどうの木を運営する社会福祉法人ナオミの会は、虐待の事実を認めたうえでこう答えた。
「虐待を行った保育士2名は出勤停止とするなど、職員に対する処分を行いました。さらに虐待についてヒアリング調査した結果をいままとめており、報告書として近く保護者向けに出す予定です。世田谷区から指摘された6項目以外にも心理的、肉体的な虐待と認められている行為があり、4~5名の園児に対して行われていたことを報告書には記載している。
問題となったX保育士はとても熱心に指導をしていたのですが、体育会気質で園児を叱責したりなどの行き過ぎた指導をしていた面があり、虐待であると認められる行為があったのは事実です。社会が求める『保育水準』や『園児の人権』という問題に、保育士の技術が追いついていなかった。また、当園では3、4、5歳児を2人の保育士で見ていたのですが、2人で見るにはゆとりがなかった。これは組織的な問題だと考えます。まずは保護者に説明を丁寧に行い、保育についても一つずつ見直していくことで改善したいと考えています」