捜査で森容疑者はメガネやバッグなどあらゆる所に小型カメラをしこんでいたが、非常に精巧なものだったことがわかっている。その手法も徹底していた。捜査関係者が語る。
「森容疑者は『知人女性へのプレゼントを探している』といって来店することが多く、時には女性を伴って来店したこともあった。女性店員がズボンやロングスカートの場合は、短めのスカートの購入をちらつかせ、『着用したイメージを知りたい』などと言って店員に履き替えさせていた。その他にもわざと商品を落としたり、靴を地面に並べさせて店員がかがんだ瞬間を下から撮るなど慣れた手つきだった」
森容疑者は2016年からブログを始めている(現在は削除済み)。自分の作品の宣伝に限らず、他人の盗撮作品へのレビューや女性の下着への執着を綴っていた。〈すごい優しくしてくれる時とか笑ってる時とか、何かしてる時とか話してる時のその瞬間のスカートの中、その時のパンツって意識するとより興奮が高まりますね〉と、自らの犯罪行為に悪びれる様子もなかった。
アトム市川船橋法律事務所の弁護士・高橋裕樹氏は、今回の事件についてこう語る。
「盗撮は現行犯でなければ、まず逮捕できません。今回の容疑者のように盗撮に使うであろうカメラを持っていたとしても、それだけでは直ちに捜査も逮捕もできません。また、盗撮の時効は3年で、発覚してもすでに時効になっているケースも多く、そもそも顔がしっかり写っていなければ被害者が特定できないなど立件へのハードルが高い。容疑者逮捕まで時間がかかったのも被害者が盗撮の被害に気づかず、被害届が出されていなかったことにくわえ、容疑者が私服警官対策をしていたのでしょう。
今回の逮捕容疑は京都府迷惑防止条例違反になります。常習的盗撮なので、2年以下の懲役又は100万円以下の罰金です。通常、初犯であれば略式裁判で罰金になるケースが多いですが、今回は悪質性も高いので公開の法廷での通常裁判の可能性が高いと思います。とはいえ、容疑を認めていることもあり、執行猶予付きの有罪判決が下されるのではないかと思います」