「〈面白い本当〉を探し当てられれば一番なんですけどね」と、高橋氏

「〈面白い本当〉を探し当てられれば一番なんですけどね」と、高橋氏

高橋:話しすぎて、落語家みたいになっている人はいました。でも逆に、完璧に仕上がっているエピソードって、少し聞いたら分かるじゃないですか。自分の記憶じゃなくてニュースの情報が混じっているな、とか、毎日のように誰かに話をしているのかも、とか。だから私は、言葉を考えるための隙間が見えない話は、そのまま受け取らないように気をつけています。

ニシダ:芸人とノンフィクションを書く人とでは、そこの見極めのフィルターが逆ですもんね。芸人は、本当かどうかよりも面白いかどうか。高橋さんは、面白いかどうかより、本当かどうか。

高橋:〈面白い本当〉を探し当てられれば一番なんですけどね。

ニシダ:まさに、それが『つけびの村』じゃないですか!

【プロフィール】
高橋ユキ(たかはし・ゆき)/1974年、福岡県生まれ。2006年『霞っ子クラブ 娘たちの裁判傍聴記』でデビュー。裁判傍聴を中心に事件記事を執筆。2019年に刊行した『つけびの村』が話題を呼ぶ。他の著書に『木嶋佳苗 危険な愛の奥義』『暴走老人・犯罪劇場』『逃げるが勝ち 脱走犯たちの告白』など。

ニシダ/お笑いコンビ「ラランド」のツッコミ。1994年、山口県生まれ。最終学歴は上智大学外国語学部イスパニア語学科中退。趣味は読書で年間純文学を中心に100冊以上を読む。最近では講談社やKADOKAWAから小説を発表するなど、芸人をしながら執筆活動も積極的に行なっている。

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