「ダブル選」で危機感

 折しも大阪は4月9日投開票の統一地方選の幕開けとなる府知事選が3月23日に告示されたばかり。春場所千秋楽の26日は、選挙期間中の最初の日曜日となる。大阪府知事選は現職で大阪維新の会代表の吉村氏のほか、政治団体「アップデートおおさか」が支援する法学者・谷口真由美氏ら計6人が立候補している。

 大阪府府民文化部に吉村氏が千秋楽の表彰式に出席しない理由を確認すると「知事のスケジュールの都合です」とするのみ。選挙期間中だと表彰式に出席できない制約などがあるのかを改めて大阪府の選挙管理委員会事務局に尋ねると、次のような説明だった。

「知事の任期は4月6日まであり、選挙期間中も職務として出席することはできます。告示前なら政治的中立を期すために広く名前を知らしめるイベントへの出席を控えるケースもありますが、選挙期間中は他の候補も選挙運動ができるので制限はありません。(今回の欠席は)スケジュールの都合だと思います」

 ただ、そのうえでこうも付け加えた。

「職務として出席、発言することは問題ありませんが、選挙演説のようなかたちになると、演説ができる場所は決まっているので公職選挙法違反になります」(同前)

 公選法の運用は複雑極まりないところがあり、何が“選挙演説のようなかたち”にあたるのかの線引きは難しいところで、思わぬかたちで足をすくわれることを避けたのかもしれないが、大阪府の自民党関係者はこうも話す。

「地元で高い人気を誇る吉村知事ですが、今回は政界引退した松井一郎市長の後継を決める大阪市長選もある『ダブル選』です。さらに大阪維新の会としては、同日投開票の大阪市議選で単独過半数獲得を目指している。大阪の選挙で圧倒的な強さを見せてきた維新だが、24の複数人区で議席を競い合う市議選では、過半数を獲得したことがない。まさに正念場で、吉村知事としては維新全体のためにも演説して回って存在感をアピールする必要があり、知事選の告示後に2度しかない“選挙サンデー”を有効活用するために、職務とはいえ表彰式に出ている余裕がないのでしょう」

 本場所の土俵と同様に、選挙戦も荒れ模様になるのだろうか。

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